やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定は、無効である。
やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定の効力
民法90条,民法91条,民法678条
判旨
民法678条のうち、やむを得ない事由がある場合に組合から任意に脱退できる旨を規定する部分は強行法規であり、これに反する特約は無効である。
問題の所在(論点)
民法678条に基づき「やむを得ない事由」がある場合の脱退権を認めた規定は強行法規か。また、譲渡以外の脱退を禁止する特約は有効か。
規範
民法678条は、組合員が「やむを得ない事由」がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に任意に脱退できる旨を規定している。同条のうちこの部分は強行法規であり、これに反する組合契約の約定は効力を有しない。なぜなら、やむを得ない事由があっても脱退を許さない約定は、組合員の自由を著しく制限し、公の秩序(公序良俗)に反するからである。
重要事実
ヨットの共同購入・利用を目的とする組合(存続期間の定めなし)において、規約に「会員の権利は承認を得て譲渡できる。譲渡した月末をもって退会とする」旨の規定(本件規定)があった。これは資金的余裕がない等の理由から、譲渡以外の方法による脱退を認めない趣旨であった。組合員である上告人らが、脱退の意思表示をしたとして、持分払戻金を請求した事案である。
あてはめ
本件規定は、会員の権利譲渡以外の方法による脱退を許さないものと解されるが、これは「やむを得ない事由」がある場合であっても任意脱退を認めない趣旨を含む。このような制限は、組合員の離脱の自由を著しく制限するものであり、強行法規たる民法678条に違反する。本件組合に財政的余裕がない等の事情や、譲渡や解散請求の道が残されているといった事情があっても、この結論は左右されない。
結論
本件規定は、やむを得ない事由がある場合の脱退を認めない限度において無効である。したがって、上告人らの脱退について「やむを得ない事由」の存否を審理すべきである。
実務上の射程
組合契約における脱退制限条項の限界を示す射程の長い判例である。答案上は、まず民法678条の趣旨が「組合員の人格的自由の尊重」にあることを示し、脱退禁止特約の効力が問題となる場面で、本判決を根拠に強行法規違反(ないし公序良俗違反)を論じる際に用いる。
事件番号: 昭和49(オ)684 / 裁判年月日: 昭和50年2月18日 / 結論: 棄却
省略
事件番号: 昭和49(オ)787 / 裁判年月日: 昭和50年7月21日 / 結論: 棄却
準備手続を経ない口頭弁論期日(第一回期日を除く。)の変更は、当事者の合意がある場合でも、顕著な事由の存在が明らかでないかぎり、これを許さなければならないものではない。