準備手続を経ない口頭弁論期日(第一回期日を除く。)の変更は、当事者の合意がある場合でも、顕著な事由の存在が明らかでないかぎり、これを許さなければならないものではない。
準備手続を経ない口頭弁論期日(第一回期日を除く)の変更と当事者の合意
民訴法152条5項
判旨
準備手続を経ない口頭弁論期日の変更は、当事者の合意がある場合でも、顕著な事由の存在が明らかでない限り、裁判所はこれを許容する義務を負わない。
問題の所在(論点)
当事者の合意や不都合の申出がある場合に、裁判所が期日変更申請を却下し、証拠調べを取り消して結審する措置は、適法な裁量の範囲内か。期日変更が認められるための「顕著な事由」の判断基準が問題となる。
規範
準備手続を経ない口頭弁論期日(第一回期日を除く)の変更については、民事訴訟法上(旧152条5項、現93条3項参照)、当事者の合意がある場合であっても、裁判所は「顕著な事由」の存在が明らかでない限り、これを許容すべき義務を負うものではない。裁判所には期日指定・変更に関する広範な裁量が認められる。
重要事実
控訴審の第6回口頭弁論期日において、次回(第7回)期日が指定された。上告代理人は、当日名古屋へ出張するため出頭できない旨を理由として期日変更を申請した。しかし、申請書には具体的な出張の必要性(事由)に関する記載がなく、その事由を疎明する資料の添付もなされていなかった。原審は変更を認めず、被上告人本人尋問の採用を取り消して口頭弁論を終結させた。
あてはめ
本件において、上告代理人が主張した「名古屋への出張」という理由は、単に不在である事実を示すのみで、その出張が期日変更を正当化するほど不可避かつ重要なものであるかを判断するための具体的な事情が示されていない。また、事由を裏付ける客観的な疎明資料も欠いている。したがって、期日の変更を必要とする「顕著な事由」の存在が明らかであったとは認められず、裁判所が変更申請を容れなかったことは適法な裁量の範囲内といえる。
結論
顕著な事由の疎明がない以上、期日変更を認めずに口頭弁論を終結した原審の措置に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
民事訴訟法93条3項(旧152条5項)の解釈に関するリーディングケースである。答案上では、裁判所の訴訟指揮権(期日指定権)の裁量の広さを論証する際に用いる。特に、弁護士の他件との競合や出張を理由とする期日変更申請が、当然には「顕著な事由」に当たらないことを示す根拠として有用である。
事件番号: 昭和48(オ)207 / 裁判年月日: 昭和48年6月26日 / 結論: 棄却
(省略)