判旨
当事者が病気による期日変更を申し立てた場合でも、発病日時や代理人選任の能否等の資料が不十分であれば、裁判所が期日変更を許さず弁論を実施しても違法ではない。
問題の所在(論点)
当事者が医師の診断書を提出して期日変更を申し立てた際、裁判所がこれに応じず欠席のまま手続を進めることが、当事者の手続的保障を侵害する違法なものとなるか。特に期日変更の要件である「顕著な事由」の疎明の程度が問題となる。
規範
裁判所が期日の変更を認めるか否かは、特段の事情がない限り裁判所の裁量に属する。当事者側から病気を理由とした変更申立てがなされた場合であっても、診断書の内容等から発病の具体的な時期や、本人が出頭不能であっても代理人を選任して対応することが可能か否かといった事情が客観的に明らかでないときは、申立てを却下して期日を進行させることが許容される。
重要事実
上告人は、咽頭炎後の心臓衰弱のため約1ヶ月間の絶対安静を要する旨の医師の診断書を添付して、期日変更の申立てを行った。しかし、当該診断書には発病の具体的な日時や、代理人を選任することができない事情等についての詳細な記載や資料の添付はなされていなかった。原審は期日変更を許可せず、上告人欠席のまま弁論を実施し判決を言い渡したため、上告人が手続的違法を主張して上告した。
あてはめ
本件において提出された診断書は、安静の必要性こそ示しているものの、発病日時が不明であり、訴訟追行のために代理人を選任するなどの代替措置が講じられないほど緊急かつやむを得ない状況であったかを判断するに足りる資料ではない。したがって、裁判所が期日を変更せず、適式に呼出しを受けた上告人が欠席した状態で弁論を行ったとしても、審理を拒絶したことにはならず、民事訴訟法上の手続規定に違反するものではないといえる。
結論
期日変更を認めず、当事者欠席のまま弁論を行った原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
司法試験において、裁判所の訴訟指揮権と期日変更(民訴法93条3項)の論点で参照すべき判例である。診断書の提出があっても、単に「安静を要する」という事実だけでなく、代理人選任の能否まで含めた「顕著な事由」の疎明が必要であることを示しており、裁判所の広い裁量を肯定する文脈で使用できる。
事件番号: 昭和36(オ)716 / 裁判年月日: 昭和37年7月27日 / 結論: 棄却
一 控訴審で新らたに証人等の尋問申請があつた場合でも、その控訴審は、必ずしも、当該証人等を取り調べることを要しない。 二 訴訟係属中の事件について調停の申立があつたときでも、受訴裁判所は、必ずしも、調停の終了するまで訴訟手続を中止することを要しない。
事件番号: 昭和37(オ)744 / 裁判年月日: 昭和38年4月9日 / 結論: 棄却
弁論の再開を命ずる否とは裁判所の専権事項であり、第一審判決がいわゆる欠席判決である 場合にも、結論を異にすべきものではない。
事件番号: 昭和36(オ)1301 / 裁判年月日: 昭和37年6月29日 / 結論: 棄却
所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、第一審以来原告の土地所有を認めこれを原告が既に訴外者に売却したと主張して来た被告が控訴審(同六回弁論期日)になつてはじめて原告の右所有を争い、原告先代から被告自身が所有権を取得したと主張することは、右訴訟の経過に鑑み故意かしからずとするも重大な過失によつて時機に遅れた防禦方法を提…