本訴は係争建物が原告所有のものであることを理由にして、右建物の収去を内容とする債務名義の執行の排除を求める第三者異議の訴であり、反訴は右建物が原告(反訴被告)のものであるとして原告に対しその収去を求めるものである場合は、右反訴は右本訴の請求と牽連関係があると認めて妨げない。
民訴法第二三九条にいわゆる索連関係があるとされた事例
民訴法239条
判旨
本訴(第三者異議の訴え等)と反訴において、その権利関係の内容が共通する場合、民事訴訟法上の牽連関係が認められ、反訴の提起は適法となる。
問題の所在(論点)
本訴の請求(執行の排除)と、建物の所有権を前提とする収去請求の反訴との間に、反訴の適法要件である牽連関係が認められるか。
規範
反訴の提起(民事訴訟法146条1項、旧239条)における牽連関係とは、本訴の請求と反訴の請求が同一の法律関係から生じている場合、または本訴の請求に対する防御方法と反訴の請求との間に共通の事実的・法律的基礎がある場合を指す。
重要事実
上告人(原告・反訴被告)は、本件建物が自己の所有であることを理由に、当該建物の収去を命じる債務名義の執行排除を求めて本訴(第三者異議の訴え等)を提起した。これに対し、相手方(被告・反訴原告)は、本件建物が上告人の所有であることを前提に、上告人に対してその建物の収去を求める反訴を提起した。
事件番号: 昭和34(オ)975 / 裁判年月日: 昭和38年2月21日 / 結論: 棄却
原告の土地明渡請求に対し、被告が第一審において右土地について賃借権を有する旨主張し、同審が右賃借権の存在を肯認した場合に、控訴審において被告が更に反訴として右賃借権存在確認の訴を提起するには、相手方たる原告の同意を要しないものと解するのが相当である。
あてはめ
本訴の請求は本件建物が上告人所有であることを根拠として執行の排除を求めるものであり、反訴の請求もまた本件建物が上告人所有であることを前提として建物の収去を求めるものである。このように、本訴と反訴のいずれにおいても、争点となる「建物の所有関係」という権利関係の内容が共通している。したがって、両者の間には密接な関連性があり、同一の訴訟手続で審理すべき共通の法的基礎が存在するといえる。
結論
本訴と反訴は権利関係の内容において共通するため、牽連関係が認められ、反訴の提起は適法である。
実務上の射程
本判決は、執行手続の停止を狙う本訴に対し、権利の実現を狙う反訴が提起された場合の牽連関係を認めたものである。実務上は、建物所有権の帰属をめぐる紛争において、攻撃防御方法が共通する以上、反訴の要件を広く認めて一回的解決を図るべきという文脈で活用される。
事件番号: 昭和38(オ)1407 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
請求権保全の仮登記でも、これに基づく本登記がなされたときは、仮登記以後におけるこれと相容れない中間処分の効力を否定する効果を有するものと解すべきであり、所有権移転請求権保全の仮登記以後における所論賃借権の設定も右にいう仮登記と相容れない中間処分たるを失わない(昭和三三年(オ)第八七一号同三六年六月二九日第一小法廷判決、…
事件番号: 昭和37(オ)1277 / 裁判年月日: 昭和39年3月13日 / 結論: 棄却
甲所有の土地の一部を乙が賃借して家屋を建築して居住し、甲の居住家屋と相隣関係をなすとき、甲が甲使用の宅地部分に物置を設置して乙が賃借地の境界に植えた生垣の一部を枯死させたとしても、原判示(第一審判決引用)事実関係(第一審判決理由参照)のもとにおいては、乙の賃料不払を理由とする甲の右賃貸借契約解除は権利濫用にあたらない。
事件番号: 昭和37(オ)93 / 裁判年月日: 昭和38年5月24日 / 結論: 棄却
甲が乙より土地を賃借した後、右土地の所有権が乙、丙、丁と順次譲渡された場合において、丙は乙の実子であり、丁は乙、丙その他これと血族または姻族関係にある者の同族会社であつて、その営業の実態は乙の個人営業をそのまま引き継いだものであり、乙がその中心となつている等原判示のような事情(原判決理由参照)があるときは、甲の右賃借権…
事件番号: 昭和37(オ)365 / 裁判年月日: 昭和37年9月28日 / 結論: 棄却
所有権の行使に民法第一条第三項の適用はあるが、所有権の取得に同条項の適用はない。