借地人が借地上に所有している建物を自己経営の旅館営業のために使用している場合には、建物の一部を居住の用に供していると否とにかかわらず、又、事業用床面積の広狭にかかわらず、右借地の地代について、地代家賃統制令の適用がない(昭和三七年二月一五日第一小法廷判決、民集一六巻二号二六五頁参照)。
借地人が自己経営の旅館の敷地として借地を使用する場合と地代家賃統制令の適用の有無。
地代家賃統制令23条2項但書
判旨
借地上の建物を自己の経営する旅館営業のために使用している場合、当該借地の地代については地代家賃統制令の適用を受けない。
問題の所在(論点)
借地上の建物を旅館営業という営利目的で使用している場合、その敷地の地代について地代家賃統制令の適用があるか。
規範
地代家賃統制令が適用される「借地」の範囲について、賃借人がその所有する建物を営利目的の事業(特に旅館営業等)に使用している場合には、同令の保護対象となる地代には該当せず、その適用を排除すべきである。
重要事実
上告人は、本件借地上に建物を所有し、これを自己が経営する旅館営業のために使用していた。当該土地の地代に関して、地代家賃統制令の適用があるか否かが争われ、上告人は旅館業法上の許可の有無等についても主張したが、原審は事実関係に基づき同令の適用を否定した。
あてはめ
上告人が本件借地上の建物を自己の経営する旅館営業のために使用している事実は証拠に照らし肯定される。このような営利活動の拠点として利用されている土地の賃貸借は、同令が本来予定している国民の居住の安定等の保護趣旨に直接馴染むものではない。したがって、当該営業用建物の敷地に係る地代については、同令の適用外とするのが相当である。なお、旅館業法上の許可の有無は、原審で主張されていない以上、判断の前提とならない。
結論
本件借地の地代について地代家賃統制令の適用はない。したがって、原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
統制額を超える地代の合意が有効か否かを検討する際、建物の用途が営業用(特に宿泊施設等)であれば、本判例を根拠に統制令の適用外として合意の有効性を肯定する論理として用いる。
事件番号: 昭和48(オ)708 / 裁判年月日: 昭和51年6月3日 / 結論: 棄却
地代家賃統制令の適用のある借地又は借家につき裁判、裁判上の和解又は調停によつて地代又は家賃の額を定める場合には、停止統制額又は認可統制額を超えてでも適正な額を定めることができる。