剣道術練習により生ずる騒音量が保険医療業及び脳神経系統に及ぼす影響についての鑑定のためには、必ずしも医学的学識を有する者のみが鑑定人として選任されなければならないものではない。
鑑定に必要なる学識経験
民訴法302条
判旨
賃料増額請求が認められるためには、前回の賃料決定時から請求時までの間に、地価の昂騰や租税の増徴など、賃料を増額すべき客観的な事情の変更が存在することを要する。そのような事情の変更がない場合に行われた賃料増額請求は効力を有さず、従前の賃料額による供託は有効であり、債務不履行による解除は認められない。
問題の所在(論点)
賃貸人による賃料増額請求が有効となるための要件、及び増額請求に正当な理由がない場合に、従前の賃料を供託することで賃務不履行(延滞)を免れることができるか。
規範
借地借家法上の賃料増額請求権(本件当時の法理)の行使が認められるためには、前回の賃料合意又は決定がなされた時点以降、土地価格の昂騰、公租公課の増徴、その他経済事情の変動により、現行の賃料が不相当となったという「客観的事情の変更」が認められなければならない。
重要事実
上告人と被上告人は、昭和28年11月に本件土地の賃料を月額2,000円(一部借増分は500円)とする増額合意をした。しかし、上告人はそのわずか半年後の昭和29年5月に、さらなる賃料増額を請求した。被上告人はこれを拒み、昭和28年11月合意時の賃料額を供託し続けたため、上告人は賃料延滞を理由に賃貸借契約の解除を主張した。
事件番号: 昭和47(オ)274 / 裁判年月日: 昭和49年7月22日 / 結論: 棄却
賃料増額に関する調停において増額分の支払につき履行期が定められなかつたときは、即時その履行期が到来すると解すべきである。
あてはめ
昭和28年11月に賃料増額の協定が成立してから、昭和29年5月に上告人が再度の増額請求を行うまでの間において、地価の昂騰や税の増徴といった賃料増額を正当化するほどの客観的事情の変更は認められない。したがって、上告人のなした本件増額請求は法的な効力を有しない。被上告人が、有効な賃料として認定された額(昭和28年11月合意額)を供託したことは有効な弁済となり、賃料の延滞は発生していないと評価される。
結論
客観的事情の変更を欠く賃料増額請求は無効であり、従前の賃料額を供託している以上、賃料債務不履行を理由とする契約解除は認められない。
実務上の射程
賃料増額請求権の行使における「事情変更の原則」の具体化を示す。実務上、増額請求の当否は前回の賃料決定時からの期間の短近や経済指数の変化を厳格に検討すべきことを示唆しており、答案上は請求が効力を生じるための前提要件として「不相当性」の論証に用いる。
事件番号: 昭和44(オ)1165 / 裁判年月日: 昭和45年2月27日 / 結論: 棄却
賃貸人が、借地上の賃借人所有の建物に対し占有移転禁止等の仮処分を執行したことにより、賃借人の借地の使用収益を妨げたとしても、そのために借地法一二条に基づく賃料増額請求が許されなくなるものではない。
事件番号: 昭和37(オ)962 / 裁判年月日: 昭和38年11月22日 / 結論: 破棄差戻
約定賃料額ないし増減請求権行使によつて改訂された具体的賃料額を確定することなく、催告にかかる賃料額が相当賃料額に当ることをもつて、賃貸借解除の前提たる賃料支払の催告を有効とした判断には、審理不尽、理由不備の違法がある。
事件番号: 昭和36(オ)696 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
賃貸借の対象たる土地に対し、土地区画整理法に基づき換地予定地の指定がなされた結果、賃借人が従前の土地の使用収益を禁じられ、換地予定地の使用収益すべきことになつたとしても、これによつて従前の土地の賃貸借そのものが消滅に帰したわけではなく、その約定賃料もまた換地予定地の地積いかんにより当然増減するものではない。
事件番号: 昭和39(オ)573 / 裁判年月日: 昭和40年12月2日 / 結論: 棄却
訴の変更があつた場合においては、従前の訴訟資料はそのまま引きつがれると解するのが相当である。