工場構内の金属屑の混入した土砂より水洗式により笊、桶、スコップ等を用いて金属屑を選別し、これに要する経費が選別して得た金属屑の価格の八分の一以下である場合には、右選別は民法台二四六条にいう加工に当らない。
加工に当らない事例。
判旨
他人の所有する金属含有土砂(鉱土)から人夫を用いて非鉄金属等を撰別・売却する行為は、民法246条所定の「加工」には当たらない。
問題の所在(論点)
他人の所有に属する金属含有土砂(鉱土)から、人力を費やして金属類を分離・撰別する行為が、民法246条1項の「他人の動産に工作を加えた」場合(加工)に該当し、その所有権が工作者に帰属するか。
規範
民法246条の「加工」とは、他人の動産に工作を加えて新たな価値を付加し、別個の物を作り出すことを指す。単に混合物の中から既存の特定成分を分離・抽出する作業は、工作の程度が低く、原材料の性質を本質的に変化させない限り、「加工」には該当しない。
重要事実
会社Dの工場建設部長である上告人は、国(被上告人)が管理する土地の整地作業に従事した際、整地で生じる「鉱土」を国に返納する条件で許可を得ていた。しかし、上告人は当該土砂に非鉄金属等が含まれていることを知りながら、これを無断で搬出。十数名の人夫を使用し、水洗式により笊桶やスコップ等を用いて、時価合計約412万円相当の金属類を撰別・抽出して売却した。この撰別経費には約49万円を要していた。
あてはめ
本件における撰別作業は、水洗式で笊桶やスコップを用いて土砂から金属を分けるという態様のものであった。これは混合物から既存の構成要素を取り出す選別作業に過ぎず、材料に新たな属性や形態を与えて別種の動産を創出したとはいえない。したがって、十数名の人夫を投入し相応の経費を要したとしても、工作の程度が低く、民法246条の「加工」と評価するには足りない。
結論
本件の撰別行為は「加工」に当たらないため、撰別された金属類の所有権は加工者(上告人側)に帰属せず、元の所有者である国に帰属する。
実務上の射程
本判決は、加工の成否を判断するにあたり、単なる「分離・抽出」と「工作による価値創造」を区別する視点を示している。答案上は、工作の内容が原材料の本質的形状・性質を変更するものか、単に中に含まれている物を取り出すだけかを検討する際の基準となる。
事件番号: 昭和54(オ)736 / 裁判年月日: 昭和57年6月17日 / 結論: 破棄差戻
一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、その投入によつて直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立工事の竣功認可の時に埋立権者の取得する埋立地に附合するものであつて、その時までは、独立した動産としての存在を失わない。 二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、動産としての独立性を…