山林の立木伐倒による損害賠償請求について、右伐倒木に混合が生じたとするには、如何なる割合で主従の区別があるのか、またはその区別をすることができない場合であるかを明らかにしなければ審理不尽となる。
伐倒木の混合が生じたとするにつき審理不尽があるとされた事例。
民法243条,民法244条,民法245条,民訴法395条6号
判旨
動産の混和により識別不能となった場合、民法245条・243条の準用により、主従の区別があるときは従たる動産の所有者は所有権を喪失し、区別できないときは価格割合に応じた共有となる。
問題の所在(論点)
動産の混和が生じた場合に、元の所有者が直ちに所有権を喪失するか、あるいは共有関係が成立するか。また、主従の区別の有無が所有権喪失の判断に影響を及ぼすか。
規範
動産が混和して識別することができなくなった場合、民法245条に基づき同243条・244条が準用される。したがって、混和した動産に主従の区別があるときは、従たる動産の所有権は主たる動産の所有者に吸収され消滅する。主従の区別ができない場合には、各所有者は混和当時における価格の割合に応じて合成物を共有する。
重要事実
上告人(被控訴人)所有の山林から不法に伐採された松の木が、被上告人(控訴人)が他から伐採した松の木と混和され、識別することができなくなった。上告人は、これにより所有権を喪失したとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した。原審は、混和が生じても共有関係に移行するだけで所有権は直ちに失われないとして、請求を棄却した。
あてはめ
本件において、両山林から伐採された松の木が混和し識別不能となった事実は認められる。この場合、直ちに共有関係が成立すると断じるのではなく、まずは当該伐倒木間に「主従の区別」があるか否かを審理すべきである。仮に主従の区別が認められ、上告人の松の木が従たるものであれば、上告人はその所有権を喪失するため、所有権喪失による損害賠償請求が認められる余地が生じる。原審は主従の区別の有無について審理を尽くしておらず、法令の適用に誤りがある。
結論
混和による所有権の喪失は、主従の区別の有無によって決まるため、その点について審理を尽くさせるべく、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
動産の混和・付合(民法243条〜245条)に関する基本判例。実務上、所有権の喪失による損害賠償を請求する際には、単なる混和の事実だけでなく、相手方の所有物が「主」であり自己の所有物が「従」であることを主張立証する必要がある。
事件番号: 昭和34(オ)207 / 裁判年月日: 昭和37年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共有持分権者の一人が、他の共有者の同意を得ることなく共有物である立木を第三者に売却し、伐採させた行為は、他の共有者の持分を侵害する不法行為を構成する。 第1 事案の概要:上告人と被上告人らは、本件立木を共有していた。上告人は、昭和28年10月中、他の共有者である被上告人らに無断で、本件立木の全部を…