判旨
共有持分権者の一人が、他の共有者の同意を得ることなく共有物である立木を第三者に売却し、伐採させた行為は、他の共有者の持分を侵害する不法行為を構成する。
問題の所在(論点)
共有者の一人が、共有持分を有する他の共有者の同意を得ずに共有立木を第三者に売却し伐採させた場合、他の共有者に対する持分権侵害(不法行為)が成立するか。
規範
共有物の処分(民法251条)は、他の共有者全員の同意を得なければならない。共有者の一人が独断で共有物を第三者に売却し、その実体を失わせる行為(伐採等)をさせることは、他の共有者の有する共有持分権という物権的権利を違法に侵害するものと解される。
重要事実
上告人と被上告人らは、本件立木を共有していた。上告人は、昭和28年10月中、他の共有者である被上告人らに無断で、本件立木の全部を第三者に売却処分した。この売却処分は、単なる債権的な売買契約にとどまらず、買主に当該立木を伐採させることを内容とするものであった。
あてはめ
本件において、上告人は本件立木の全部を独断で他に売却処分している。この処分は「他に売却伐採せしめることを意味するもの」と認定される。立木が伐採されることにより、被上告人らが有していた共有持分権の対象である立木そのものの実体が失われることになる。したがって、上告人の行為は、被上告人らの共有持分を客観的に侵害したものと評価される。
結論
上告人による本件立木の売却処分は、被上告人らの共有持分を侵害するものであり、不法行為が成立する。
実務上の射程
共有物の「管理」の範囲を超えた「変更・処分」にあたる行為(本件では立木の伐採を伴う売却)を共有者が単独で行った場合、物権的請求権のみならず、不法行為に基づく損害賠償請求の対象となりうることを示す。答案では、民法251条違反から不法行為責任(709条)を導く際の論理として活用できる。
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