一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、その投入によつて直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立工事の竣功認可の時に埋立権者の取得する埋立地に附合するものであつて、その時までは、独立した動産としての存在を失わない。 二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、動産としての独立性を失わない限り、埋立権とは別個にこれを譲渡することができる。
一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂と公有水面の地盤から独立した動産としての存在 二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂を埋立権とは別個に譲渡することの可否
民法86条2項,民法206条,民法242条,民法247条1項,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)16条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)24条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)35条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)36条
判旨
公有水面に投入された土砂は、埋立工事が完成し竣功認可を受けるまでは、原則として公有水面の地盤に附合せず、独立した動産としての存在を失わない。また、当該投入土砂の所有権は、埋立権とは切り離して個別に譲渡することが可能である。
問題の所在(論点)
公有水面に投入されたが未だ竣功認可を受けていない土砂が、地盤に附合して国の所有となるか(民法242条)。また、当該土砂の所有権は埋立権とは別個に譲渡できるか。
規範
公有水面の埋立にあたって投入された土砂は、(1)投入段階では地盤と一体化して価値を増加させるものではなく、(2)竣功認可までは原状回復義務の対象となり得るため、直ちに不動産に附合(民法242条本文)して国の所有に帰することはない。原則として、埋立権者が工事を完成し竣功認可を受けた時に、埋立地の所有権取得に伴い当該土砂の所有権も取得する。それまでは独立した動産であり、埋立権の存否・帰属とは無関係に、別個に譲渡の対象となる。
重要事実
D社は公有水面の埋立免許(本件埋立権)を得て、これをE社に譲渡した(許可済)。E社は本件土砂を投入し、約3万坪を平均満潮位以上に埋め立てたが、護岸等の施設はなく工事未完成のまま中止した。その後、E社は本件埋立権および本件土砂を含む財産一切を産業設備営団に譲渡し(代物弁済)、営団はこれを上告人に売り渡したが、これらの譲渡については公有水面埋立法16条の許可を得ていなかった。一方、後に被上告人が同一区域を含む免許を得て工事を完成させ、竣功認可を受けたため、上告人が本件土砂の所有権を主張して争った。
あてはめ
本件において、E社が投入した土砂は、平均満潮位を超える高さまで盛り土されているものの、竣功認可を受けておらず埋立工事は未完成であった。この段階では、土砂は依然として原状回復義務(公有水面埋立法35条1項)の対象となり得る状態にあり、公有水面という不動産に附合して独立性を失ったとはいえない(動産性の維持)。また、投入土砂の所有権は埋立権の帰属に随伴するものではないため、公有水面埋立法上の譲渡許可の有無にかかわらず、埋立権とは別に取引の対象とし得る。したがって、上告人は許可のない埋立権譲渡を受けた場合であっても、本件土砂自体の所有権を取得し得る。
結論
本件土砂は投入によって直ちに地盤に附合せず、独立した動産として埋立権とは別個に譲渡できる。原審は、上告人が土砂の所有権を取得し得ないとした点で民法242条の解釈を誤っており、審理を尽くさせるため破棄差戻しを免れない。
実務上の射程
埋立地が「土地」として確定する前の動産的性格を強調する判例。司法試験では、民法242条の附合の成否を論ずる際、強い原状回復義務の存在や社会的・経済的評価を考慮する判断枠組みとして引用できる。また、公法上の権利(埋立権)と私法上の所有権(土砂)を峻別する視点も重要。
事件番号: 昭和47(オ)726 / 裁判年月日: 昭和47年12月12日 / 結論: 棄却
公有水面埋立法二三条本文に基づき埋立権者が竣功認可前において埋立地を使用する権利は、埋立工事を行なうために必要な限度にとどまらず、埋立の目的に反しないかぎり埋立地を自由に使用しかつ収益しうることを内容とするものと解すべきである。
事件番号: 昭和36(オ)340 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: 破棄差戻
弁済供託の供託金取戻請求権が転付命令により供託者の他の債権者に転付されただけでは、被供託者の供託金還付請求権に消長をきたすものではなく、したがつて供託の効力が失われるものではない。
事件番号: 昭和34(オ)777 / 裁判年月日: 昭和36年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加訴訟(民訴法47条)において、原告、被告、参加人の三当事者間で権利関係を合一に確定する必要がある場合、原告が参加人の請求を認諾したとしても、被告がこれを争っている限り、その認諾は効力を生じない。 第1 事案の概要:原告Bが被告に対して訴えを提起し、さらに参加人が民事訴訟法71条(現4…