公有水面埋立法二三条本文に基づき埋立権者が竣功認可前において埋立地を使用する権利は、埋立工事を行なうために必要な限度にとどまらず、埋立の目的に反しないかぎり埋立地を自由に使用しかつ収益しうることを内容とするものと解すべきである。
公有水面埋立法二三条本文に基づく埋立地使用権の性質
公有水面埋立法23条
判旨
公有水面埋立法の免許を受けた埋立権者は、工事竣功認可前であっても、埋立地を自由に使用・収益し得る実質的権利を有するため、無権原の占有者に対し、賃料相当額の損害賠償を請求できる。
問題の所在(論点)
公有水面埋立法に基づき、竣功認可前の埋立権者に認められる「使用する権利」の法的性質、および当該権利が侵害された場合に賃料相当額の損害賠償請求が可能か。
規範
公有水面埋立法23条本文に基づく使用権は、埋立工事に必要な限度にとどまらず、埋立の目的に反しない限り、埋立地を完全に支配し、自由に使用・収益し得る権利である。これは、竣功認可後に取得すべき所有権と実質において異ならない内容のものと解すべきである。
重要事実
被上告人(原告)は、公有水面の埋立免許を受け、事実上の土地造成を完了していたが、まだ工事の竣功認可を受けていなかった。上告人ら(被告)は、当該埋立地を権原なく占有していた。これに対し、被上告人が上告人らに対し、無断占有期間中の賃料相当額の損害賠償を求めた事案である。上告人らは、被上告人らが未だ所有権を取得していない以上、損害を被っていないと主張した。
事件番号: 昭和25(オ)87 / 裁判年月日: 昭和26年4月27日 / 結論: 棄却
土地所有者である賃貸人がその承諾のない転貸借によつてこれを占有する転借人に対して直接土地の返還を請求するについては、賃貸借契約を解除しまたは賃借人の承諾を得るを要しない。
あてはめ
公有水面埋立免許を受けた者は、工事竣功認可の日において当然に所有権を取得する地位にある(同法に基づき排他的に土地を造成する権利)。同法23条が竣功認可前であっても使用を認めているのは、造成された土地を速やかに埋立権者に利用させることが相当だからである。本件の埋立権者が有する権利は、所有権の実質を伴う強力な支配権といえる。したがって、第三者が無権原で占有することはこの使用収益権を侵害するものであり、賃料相当額の経済的利益の喪失という損害が生じていると評価できる。
結論
埋立権者は、竣功認切前であっても、埋立地を権原なく占有する者に対し、通常の賃料に相当する額の損害賠償を請求することができる。
実務上の射程
行政法および民法の交錯領域における、特別法に基づく法的地位の保護に関する判例。所有権が未発生の段階であっても、法令の趣旨から「実質的に所有権と同等」の支配権が認められる場合には、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求の対象となる法的利益が肯定されることを示す。
事件番号: 昭和38(オ)1462 / 裁判年月日: 昭和39年6月26日 / 結論: 棄却
賃貸人たる地主は、借地人に対し賃料請求権を有するとしても、いまだ借地人から右賃料の支払を受けていないかぎり、借地権の無断譲受人に対し賃料相当の損害賠償請求ができる。
事件番号: 昭和36(オ)696 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
賃貸借の対象たる土地に対し、土地区画整理法に基づき換地予定地の指定がなされた結果、賃借人が従前の土地の使用収益を禁じられ、換地予定地の使用収益すべきことになつたとしても、これによつて従前の土地の賃貸借そのものが消滅に帰したわけではなく、その約定賃料もまた換地予定地の地積いかんにより当然増減するものではない。
事件番号: 昭和46(オ)922 / 裁判年月日: 昭和47年7月18日 / 結論: その他
一、旧民法(明治三一年法律第九号)施行当時において生前相続により不動産所有権を承継した家督相続人は、その登記を経なければ所有権取得をもつて第三者に対抗することができず、被相続人から同一不動産の遺贈を受けた者は、同時に被相続人の遺産相続人である場合でも、右第三者にあたる。 二、夫がその所有の土地を無償で使用することを妻に…
事件番号: 昭和26(オ)333 / 裁判年月日: 昭和29年2月5日 / 結論: 破棄差戻
賃貸土地が法令上当然に信託財産となつたときは、委託者たる土地所有者は、爾後右土地につき賃貸借の解約申入をすることができない。