債務不履行による損害賠償につき、債権者に過失があるとしてこれを斟酌して損害賠償額を算定する場合、必ずしも損害額を折半して算定しなければならないものではない。
債務不履行による損害賠償につき債権者に過失があつた場合の賠償額算定方法。
民法418条
判旨
債務不履行に基づく損害賠償額を算定する際、債権者の過失を斟酌(過失相殺)する場合であっても、必ずしも損害額を折半して算定しなければならないものではない。
問題の所在(論点)
債務不履行に基づく損害賠償において、過失相殺(民法418条)を適用する際、裁判所は必ず損害額を折半して算定しなければならないか。
規範
民法415条に基づく損害賠償額の算定において、同法418条(過失相殺)を適用する場合、裁判所はその過失の態様を斟酌して賠償責任及びその額を定めることができるが、その割合は必ずしも二分の一(折半)に限定されるものではなく、事案に応じた合理的な裁量が認められる。
重要事実
上告人(受寄者)が被上告人(寄託者)との間の受寄物保管義務に違反し、寄託された煉乳を腐敗させた。被上告人は、煉乳の売却予定価額から缶代を控除した損害(9万4640円)の賠償を求めた。上告人は、保管料相当額を損害額から控除すべきであると主張したほか、過失相殺において損害を折半すべきである旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、債務不履行に関する債権者の過失を斟酌して損害賠償額を算定するにあたり、一律に折半すべきとの見解は独自のものに過ぎない。また、保管料の控除については、原審において相殺や請求権の不存在に関する主張がなされていなかった以上、判決において考慮しなかったことに違法はない。したがって、裁判所が諸般の事情を考慮して損害額を算定した原判決の判断は正当である。
結論
過失相殺を適用して損害賠償額を算定する場合でも、必ずしも損害を折半する必要はない。上告棄却。
実務上の射程
民法418条の運用において、裁判所の広範な裁量を認めたものである。司法試験の答案作成上は、過失相殺の具体的割合を論じる際、一律の基準ではなく諸般の事情を総合考慮すべきとの根拠として機能する。
事件番号: 昭和34(オ)807 / 裁判年月日: 昭和36年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法行為に基づく損害賠償請求において、被害者の過失を斟酌して賠償額を軽減するか否か、およびその軽減の程度を決定することは、裁判所の裁量に属する。 第1 事案の概要:上告人の運転する車両が、左側通行義務等の過失により事故を起こし、被上告人の長男Dを死亡させた。被上告人らは、将来の得べかりし利益の喪失…