当事者尋問の結果の証明力も、他の証拠のそれと同様、裁判官の自由心証にまかされていると解すべきである。
当事者尋問の結果の証明力。
民訴法336条
判旨
当事者尋問は他の証拠により心証を得られない場合に補充的に行われるべきもの(旧民訴法336条)であるが、その証明力は他の証拠と格差があるものではなく、裁判官の自由心証に委ねられる。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法336条(現行法207条1項参照)が定める当事者尋問の補充性と、その証拠としての証明力(自由心証主義)との関係が問題となる。すなわち、補充的に行われた当事者尋問の結果が、他の書証等の証明力を排斥する根拠となり得るか。
規範
当事者尋問は、裁判所が他の証拠調べにより心証を得ることができない場合に行うべき補充的な証拠調べであるとされるが(旧民事訴訟法336条)、当事者尋問の結果と他の証拠との間に当然に証明力の格差があるものではない。その証明力は、他の証拠と同様に、裁判官の自由心証(民事訴訟法247条)に委ねられていると解すべきである。
重要事実
原告(上告人)は、被告に対し貸金又は立替金の返還を求めて提訴した。原審は、証拠に基づき、金員の交付事実は認めたものの、それは組合契約に基づく出資金の趣旨であり、貸金等の事実は認められないと判断した。その際、裁判所は本人尋問の結果及び弁論の全趣旨に基づき、書証の文言が便宜上のものであると認定し、当該書証の証明力を否定して請求を棄却した。これに対し上告人は、証拠の証明力の評価に違法があるとして上告した。
あてはめ
本件において、原審は本人尋問の結果等に基づき、書証が文言とは異なる趣旨で便宜上作成されたものであるという事実を認定している。当事者尋問は手続上は補充的な位置付けであるが、一度実施された以上、そこから得られた証拠資料の価値は他の証拠(書証等)と対等である。したがって、本人尋問の結果によって書証の記載内容と異なる事実を認定し、貸付金債権の存在を否定した原審の判断プロセスに、自由心証主義の逸脱や証明力の格差に関する誤解といった違法は認められない。
結論
当事者尋問の証明力は他の証拠と対等であり、裁判官の自由心証に委ねられるため、本人尋問の結果に基づき書証の証明力を否定した原判決に違法はない。
実務上の射程
現行民訴法では当事者尋問の補充性(旧336条)は廃止されている(現207条1項参照)が、証拠調べの結果得られた資料の証明力については、証拠の種類を問わず自由心証に委ねられるという原則を確認する上で、現在でも重要な射程を有する判例である。
事件番号: 昭和36(オ)1133 / 裁判年月日: 昭和38年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】利息制限法所定の制限を超える利息・損害金が任意に支払われた場合であっても、元本債権が存在する限り当然に元本に充当されると解すべき根拠はない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和24年3月末日に被上告人に対し22,500円を支払った。上告人は、この支払が利息制限法(旧法)の制限を超える利息および損害金…