判旨
特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合には、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
特別上告の理由として憲法違反が主張されている場合であっても、その主張の実質が単なる訴訟法違反にすぎないとき、適法な上告理由として認められるか(旧民事訴訟法409条の3等の解釈)。
規範
特別上告が適法とされるためには、憲法解釈の誤りその他の憲法違反が具体的に示される必要がある。形式的に憲法違反を主張していても、その実質が単なる訴訟法違反の主張(法律解釈の誤りや事実誤認等)にすぎない場合は、特別上告の理由を構成しない。
重要事実
上告人は、原判決に対して憲法違反(違憲)を理由に特別上告を提起した。しかし、判決文によれば、その上告理由の具体的な内容は憲法上の問題というよりも、訴訟手続の適法性や法律適用に関する不服に主眼があったものと推認される。
あてはめ
上告人は形式上は違憲を主張している。しかし、その主張を精査すると、具体的な憲法の条文に対する解釈の誤りや適用を争うものではなく、実質的には訴訟法違反の主張にとどまっている。したがって、これは憲法判断を求める特別上告の本質を欠くものといえる。
結論
本件特別上告は適法な理由を欠くため、棄却を免れない。
実務上の射程
特別上告や憲法適合性を争う書面において、単なる法律論や事実誤認の不満を憲法問題にすり替えて主張する手法の限界を示す。答案上は、上告受理申立てや特別上告の適格性を論じる際、主張の「実質」が憲法問題に昇華されているかを判断する基準として参照し得る。
事件番号: 昭和32(オ)180 / 裁判年月日: 昭和33年7月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告の理由が原審の事実認定や証拠の取捨選択を非難するものにすぎない場合、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背を主張するものとは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が行った証拠の取捨および事実の認定に不服があるとして上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):事実認定の不当を理…