控訴審は、第一審で審理されなかつた予備的請求について審判する必要が生じた場合には、必ずしも事件を第一審に差し戻されなければならないものではない。
控訴審が第一審で審理されなかつた予備的請求について審判することの適否。
民訴法360条1項
判旨
控訴審において、訴状の請求の基礎に変更がないとして許容された予備的請求について、第一審で審理されていない場合であっても、必ずしも事件を第一審に差し戻す必要はなく、控訴審が自ら審判することができる。
問題の所在(論点)
控訴審において訴えの追加的変更(民事訴訟法143条1項、297条)により予備的請求が追加された場合、第一審の審理を経ていないことを理由に、裁判所は事件を第一審に差し戻すべきか、あるいは自ら審判できるか。
規範
控訴審において、第一審で審理されなかった予備的請求(訴えの追加的変更)について審判する必要が生じた場合でも、控訴審は必ずしも事件を第一審に差し戻さなければならないものではなく、自ら審判することができる。
重要事実
被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、当初は本件売買代金の支払いを求める第一次請求(主位的請求)を提起していた。その後、控訴審において、本件売買契約上の債務について上告人が保証したことを理由とする保証債務履行請求を予備的請求として追加した。第一審ではこの予備的請求について審理が行われていなかったため、上告人は審級の利益を主張して争った。
あてはめ
本件における売買代金請求と予備的な保証債務履行請求との間には、同一の売買契約から生じた債務の支払いを求めるという関連性があり、請求の基礎に変更がないと認められる。このような場合、控訴審は、第一審未審理の請求であっても、訴えの変更を認めた上で自ら実体的な判断を行うことが可能である。第一審に差し戻さず自ら審理を続行した原審の判断は相当である。
結論
控訴審は、第一審で審理されていない予備的請求についても、差し戻しをすることなく自ら審判することができる。
実務上の射程
訴えの変更(143条、232条、297条)に伴う審級の利益の処理に関する判例である。被告が同意しない場合でも『請求の基礎に変更がない』限り変更は許されるが、その際、第一審の審理を経ていない請求について控訴審が判断を下すことが審級の利益を害しないかが論点となる。本判決は『必ずしも差し戻す必要はない』として控訴審の審判権を広く認めており、訴訟経済を優先する立場を示す。答案上は、訴えの変更の要件充足後の処理として、審級の利益の要否を検討する文脈で使用する。
事件番号: 昭和27(オ)841 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】地方裁判所が第一審として言い渡した判決に対する上告は、最高裁判所の管轄ではなく高等裁判所の管轄に属するため、管轄違いとして当該高等裁判所に移送される。 第1 事案の概要:上告人は、東京地方裁判所が第一審として言い渡した売掛代金請求事件の判決に対し、最高裁判所に上告を申し立てた。しかし、当該判決は地…