言渡期日を当事者に告知することなく言渡した第一審判決を、第二審において、判決手続に違法があるとの理由で取消す場合は、第一審裁判所に差戻すことなく、自判することができる。
言渡期日を当事者に告知することなく言渡した第一審判決を第二審において取消す場合と差戻の要否
民訴法387条,民訴法389条
判旨
第一審が判決言渡期日を告知せずに判決をした手続違背により判決を取り消す場合、さらに第一審で弁論をする必要がないと認めるときは、控訴裁判所は事件を差し戻さず自ら判決(自判)することができる。
問題の所在(論点)
第一審の判決手続に重大な違法(言渡期日の未告知)があり、控訴審が第一審判決を取り消す場合において、常に事件を第一審に差し戻さなければならないか。控訴審による自判の可否が問題となる。
規範
控訴裁判所が第一審判決の手続違背を理由にこれを取り消す場合(民事訴訟法306条参照)であっても、さらに第一審裁判所で弁論をする必要がないと認めるときは、同法307条本文の規定にかかわらず、事件を第一審に差し戻す必要はなく、自ら判決をすることができる。
重要事実
第一審裁判所が、判決言渡期日を当事者に告知することなく判決の言い渡しを行った。控訴審はこの第一審判決につき、判決手続に違法があるとして取り消したが、第一審へ差し戻すことなく自ら本案判決(自判)をしたため、上告人がその適法性を争った。
あてはめ
本件では、第一審が判決言渡期日を告知しなかったという手続上の違法が存在する。しかし、このような手続違背がある場合でも、審理の状況に照らして第一審でさらに弁論を尽くさせる必要がないと認められる。したがって、控訴裁判所が自ら判断を行うことは、審理の重複を避け訴訟経済を図る観点から許容される。
結論
控訴裁判所が第一審に差し戻さずに自判したことは違法ではない。第一審の手続違背を理由に取り消す場合であっても、更なる弁論の必要性がなければ自判可能である。
実務上の射程
第一審が有効な判決手続を欠く場合であっても、必要的差戻し事由(民訴法307条、308条)に限定的に解釈を加え、訴訟経済の観点から控訴審の自判権を広く認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和35(オ)77 / 裁判年月日: 昭和37年7月27日 / 結論: 棄却
控訴審は、第一審で審理されなかつた予備的請求について審判する必要が生じた場合には、必ずしも事件を第一審に差し戻されなければならないものではない。