判旨
占有の訴えにおいて、占有者が正当な権原に基づいて目的物を占有している事実が認められる場合、その占有権に基づく占有妨害停止請求は認容されるべきである。
問題の所在(論点)
占有保持の訴えにおいて、占有者が「権原に基づいて占有している事実」が認められる場合、占有妨害の停止請求は認められるか。また、占有訴訟の性質に照らし、正当な権原の有無が占有権に基づく請求の許否にどのように影響するか。
規範
占有者は、その占有を妨害されたときは、占有保持の訴え(民法198条)により、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。占有訴訟においては、原則として占有権の有無および占有侵害の事実に基づいて判断され、本権に関する理由に基づいた裁判は禁止される(民法202条2項)。もっとも、正当な権原に基づく占有が確定される場合には、その占有権は法的に保護されるべき権利として認められる。
重要事実
被上告人らが本件土地を占有していたところ、上告人によってその占有が妨害された。第一審および原審において、被上告人らは単なる事実上の占有にとどまらず、適法な権原に基づいて本件土地を占有している事実が確定された。これに対し、被上告人らは占有権に基づき、上告人に対して占有妨害の停止を求めて提訴した。
あてはめ
本件において、被上告人らが本件土地を占有していることは争いがなく、かつ、その占有が特定の権原に基づいたものであることが適法に確定されている。占有保持の訴え(民法198条)の要件は、占有者がその占有を妨害されたことである。被上告人らの占有が正当な権原に基づくものである以上、その占有は法的に保護されるべきであり、上告人による妨害行為を排除するための停止請求を認容した原審の判断は妥当である。
結論
被上告人らは権原に基づいて本件土地を占有している以上、その占有権に基づく占有妨害の停止請求は認められる。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、占有訴訟において「権原に基づく占有」が認定される場合の請求認容の正当性を簡潔に示したものである。答案作成上は、民法198条の要件検討に加え、占有者が本権(賃借権や所有権等)を有している事実が認定されている場合に、占有訴訟の枠組みであってもその正当性が強く保護されることを示す際に参照できる。ただし、本判決自体は非常に短文であり、詳細な規範定立は他の主要判例を併用する必要がある。
事件番号: 昭和32(オ)1188 / 裁判年月日: 昭和35年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】占有権(民法180条)の成否は、物に対する事実上の支配が誰に属しているかによって判断される。 第1 事案の概要:上告人らと被上告人の間で、本件土地の占有権が誰に帰属するかが争われた。原審は、証拠に基づき、本件土地に対する「事実上の支配」が上告人らにはなく、むしろ被上告人に属していると認定した。上告…