抵当権設定登記手続請求事件において、被担保債権の弁済期が昭和二八年一〇月二〇日と主張されたのに、これを同二九年二月二五日と認定して請求を認容しても、当事者の申し立てない事項について判決したことにはならない。
当事者の申し立てない事項について判決したことにならないとされた事例
民訴法186条
判旨
準消費貸借契約の成立を認定するためには、旧債務の目的となった債権の種類および金額が特定されていれば足り、その具体的な発生原因事実の詳細(頼母子講の仕組み等)までを確定する必要はない。
問題の所在(論点)
準消費貸借の成否を判断するにあたり、旧債務の発生原因事実をどの程度具体的に特定・認定する必要があるか。
規範
準消費貸借(民法588条)の成立要件として、金銭その他の代替物を給付すべき義務を目的とする既存の債務(旧債務)が存在することが必要である。もっとも、旧債務の特定については、その目的となった債権の種類(発生原因の概括的性質)および金額が認定されれば足り、旧債務の発生に至る具体的な背景事情や詳細な計算基礎までを確定する必要はない。
重要事実
被上告人(債権者)が、上告人(債務者)に対し、準消費貸借契約に基づく抵当権設定登記手続等を求めた事案。原審は、①頼母子講払戻債権(20万9000円)、②株券処分代金(25万円)、③木材売買代金残金(1万5000円)の合計47万4000円を元金とし、弁済期を1年後、利息を年1割とする準消費貸借契約の締結を認定した。これに対し上告人は、旧債務のうち頼母子講払戻債権について、講員数、掛金、講金受領方法等の具体的発生原因が明確にされていないから、理由不備・審理不尽であると主張して上告した。
事件番号: 昭和35(オ)607 / 裁判年月日: 昭和37年6月12日 / 結論: 棄却
抵当権設定契約に基づく抵当権設定登記手続請求事件において、原告は抵当権の被担保債権は、抵当権設定の日に被告に貸し付けた貸付金債権であると主張したのに対し、裁判所が右被担保債権は右設定の日より三、四箇月前に訴外人と被告との間に成立した、金銭消費貸借契約につき、右設定の日に債権者を原告とする更改契約がなされたうえ、原告と被…
あてはめ
本件において、原審は旧債務の内容として、頼母子講払戻債権、株券処分代金、木材売買代金残金という3口の具体的債権額(合計47万4000円)を特定し、これらを消費貸借に改める合意を認定している。準消費貸借の基礎となる旧債務の認定としては、このように債務の存在が客観的に特定されていれば足りる。上告人が主張するような、頼母子講の仕組み(講員数や掛金の詳細等)までを解明することは、準消費貸借の成立を左右する不可欠な要素とはいえない。したがって、原審の認定をもって事実認定として十分であり、理由不備の違法はないと解される。
結論
旧債務の具体的発生原因の細部(頼母子講の仕組み等)までを明確にする必要はなく、準消費貸借の成立を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
準消費貸借の要件論(旧債務の存在)に関する事実認定の限界を示したものである。答案上は、旧債務の発生原因事実の立証が困難な場面であっても、債権の種類・金額・当事者等の特定によって「旧債務の存在」を肯定できる論拠として活用できる。
事件番号: 昭和37(オ)1355 / 裁判年月日: 昭和39年12月25日 / 結論: 棄却
抵当権設定登記をする前に被担保債権の一部が弁済されても、債権者はその債権全額について右登録手続を請求することができる。
事件番号: 昭和33(オ)33 / 裁判年月日: 昭和35年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】主要事実である抵当権設定契約の成立を否定する場合、その前提となる間接事実に関する主張は黙示的に否定されているものと解され、判決に理由不備の違法はない。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、被上告人(被告)との間で抵当権設定契約を締結したと主張して本訴を提起した。原審は、証拠に基づき抵当権設定契約の…
事件番号: 昭和34(オ)989 / 裁判年月日: 昭和36年6月8日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】債務の残額に比して代物弁済の目的物の価格が著しく高価であり、予約完結権の行使が債務者に対しあまりに過酷な場合には、信義則(民法1条2項)または公序良俗(同90条)に反し無効となる。目的物の価格算定においては、単なる建築費のみならず、敷地賃借権の有無等の付加価値も考慮すべきである。 第1 事案の概要…
事件番号: 昭和35(オ)1179 / 裁判年月日: 昭和37年12月4日 / 結論: 棄却
利息制限法の制限をこえる利息を目的として準消費貸借をした場合、該契約は制限をこえる部分について無効である。