判旨
可分債務(平分債務の原則)
問題の所在(論点)
数人の者が共同して金銭債務等の可分債務を負担した場合、その債務の態様はどのように解されるべきか。民法427条の適用による分割債務(平分原則)の妥当性が問題となる。
規範
民法上の多数当事者の債権債務関係において、別段の合意や法律の規定がない限り、各債権者または各債務者は等しい割合で権利を有し、または義務を負う(平分原則)。特に、金銭債務のように性質上可分な給付を目的とする債務については、各債務者は分割された自己の負担部分についてのみ履行義務を負う分割債務となるのが原則である。
重要事実
1. 債権者が、複数の債務者(上告人ら)に対し、準消費貸借契約(昭和30年末頃成立)に基づく債務の履行を求めて提訴した。 2. 第一審判決は、債務者である上告人らに対し、債務額を平分して支払うよう命じた。 3. 上告人側は、多数当事者の債権債務が平分を原則とすることを前提に、原判決の判断を争い上告した。
あてはめ
1. 本件における債務は、準消費貸借に基づき発生した金銭債務であり、その性質上、可分な給付を目的とするものである。 2. 多数当事者の債権債務は、特段の事情がない限り「平分をもって原則とする」べきである。本件において、第一審判決が債務者らに対し平分支払を命じたことは、この平分原則に忠実に従ったものといえる。 3. したがって、原審が第一審判決を是認した判断に、多数当事者の債務の態様に関する法令の解釈誤りはない。
結論
数人の者が負担する可分債務は、別段の定めがない限り平分された分割債務となる。本件において上告人らに平分支払を命じた判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
民法427条の分割債務の原則を確認した基本判例である。答案作成上は、共同相続人による金銭債務の承継や、特約のない共同借主の責任を論じる際の出発点となる。実務上は連帯特約が付されることが多いが、明文の規定や合意がない場合のデフォルトルールとして重要である。
事件番号: 昭和35(オ)197 / 裁判年月日: 昭和38年3月8日 / 結論: 破棄差戻
借主の代理人との間になされた消費賃借契約による貸金返還請求を主たる請求とし、代理人に代理権がない場合には、本人が代理人を通じ、右貸金を法律上の原因なくして受領したことによる不当利得金返還請求を予備的請求として併合した訴訟において、主たる請求を排斥する裁判をするときは同時に予備的請求についても裁判をすることを要する。