農地法第二条第五項は、農地法の適用にあたつて「自作」「小作」の区別を要する場合に、これを決定する基準を定めたものに過ぎないのであつて、右以外の場合にも、世帯員が所有権その他の権利を有する農地又は採草放牧地であるというだけの理由で、当然世帯主がその土地につき所有権その他の権利を有するものとみなすと規定するものではない。
農地法第二条第五項の法旨
農地法2条5項
判旨
農地法2条5項は「自作」「小作」の区別を決定する基準を定めたものに過ぎず、世帯員が権利を有する農地等について当然に世帯主が権利を有するとみなす規定ではない。
問題の所在(論点)
農地法2条5項(世帯員が耕作等を行う場合の自作・小作判定規定)の適用により、世帯員が所有する農地等の権利が、実体法上当然に世帯主に帰属するとみなされるか。
規範
農地法2条5項(現行2条2項参照)は、農地法の適用において「自作農」や「小作農」の区別を要する場合に、その認定基準を明確にするための技術的規定である。したがって、同条項は、世帯員が所有権その他の権利を有する農地等について、世帯主が当然に当該土地の権利を有するとみなすという、実体法上の権利帰属を変更する効力を有するものではない。
重要事実
上告人は、訴外Dまたは被上告人Bが所有する本件土地について、耕作権ないし採草放牧権を有すると主張し、その確認および土地引渡を求めた。上告人が主張する権利の根拠は、DおよびBが上告人を世帯主とする世帯の一員であるため、農地法2条5項により、世帯主である上告人が当該土地の権利を有するものとみなされるという点にあった。
事件番号: 昭和41(オ)1033 / 裁判年月日: 昭和42年3月23日 / 結論: 棄却
農地法第六条第五項は当該農地の耕作者に対し耕作権原を附与した規定と解すべきものではない。
あてはめ
上告人は、自身が世帯主であることを理由に、農地法2条5項に基づき実体法上の権利(所有権とみなされる権利)を主張する。しかし、同条項の趣旨は農地法上の「自作」「小作」の区別を判断するための基準提示にある。世帯員が権利を有するという事実のみから、同条項を根拠として世帯主に当然に実体法上の権利を帰属させることは、同条項の解釈として認められない。したがって、上告人の主張はそれ自体が失当である。
結論
上告人の請求は認められない。世帯員が権利を有する農地について、世帯主が当然に権利者とみなされることはない。
実務上の射程
農地法上の定義規定が民事上の権利帰属(物権変動等)を直ちに左右しないことを示した点に意義がある。答案上は、農地法上の制限や定義が私法上の契約の効力や権利の所在に及ぼす影響を検討する際、行政上の目的と私法上の権利関係を区別する論理として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)575 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸借または転貸借に基づき農地を適法に占有耕作している事実に加え、行政処分である買収処分が正規の手続を経てなされた場合には、当該処分は有効であり、不法占拠等の瑕疵は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人(Bを除く)らが判示農地を占有耕作していることに関し、農地買収処分の無効等を主張し…