賃貸人の所有宅地上に賃借人が自費で建築した家屋を賃貸人に無償譲渡したうえ、該家屋を賃借することは特段の事情のない限り自由であり、借地法の禁止事項の実現を目的とした脱法行為とはいえない。
賃貸人の所有宅地上に賃借人が自ら建築した家屋を賃貸人に無償譲渡した上該家屋を賃借することは借地法の禁止事項の現実を目的とした脱法行為にあたるか。
民法90条,借地法11条
判旨
家屋の無償譲渡および賃貸借契約において、宅地の賃貸借の合意がなく、かつ脱法目的が認められない場合には、借地法の禁止事項に抵触する脱法行為には当たらない。
問題の所在(論点)
家屋の譲渡および賃貸借契約が、借地法の禁止事項(強行規定)の実現を目的とした脱法行為(民法90条等に関連)に該当するか。
規範
当事者間の契約が強行法規の潜脱を目的とした脱法行為に該当するか否かは、契約締結の経緯、契約内容、および当事者の真意(法が禁止する事項の実現を目的としているか)を総合して判断すべきである。
重要事実
亡DとEの間で、本件家屋の無償譲渡契約および賃貸借契約が締結された。本件家屋の無償譲渡は自由に行われ、契約当時、当事者間に本件宅地を賃貸借する意思の合致はなく、そのような意図も含まれていなかった。また、家屋の賃貸借期間については更新できる旨の約定が存在していた。
事件番号: 昭和36(オ)680 / 裁判年月日: 昭和38年7月9日 / 結論: 棄却
後見人が被後見人の所有土地を同人のために占有していたにすぎない場合には、後見人が自ら所有の意思を以て占有したものとはいえない。
あてはめ
まず、本件家屋の譲渡は自由な意思に基づき行われており、拘束性がない。次に、当事者間に宅地の賃貸借を成立させる意思の合致や意図が全く存在しない以上、借地法が適用される前提を欠いている。さらに、家屋賃貸借において更新の約定があることは、借地権を不当に制限するような不利益な内容とはいえない。したがって、本件各契約は、借地法の潜脱を目的としたものとは認められない。
結論
本件各契約は脱法行為には当たらず、有効である。
実務上の射程
借地借家法(旧借地法)の強行規定を免れるために、形式的に家屋の無償譲渡等の外形を整えたとしても、実質的に土地賃貸借の意図があり法の趣旨を潜脱する場合は無効となり得る。本判決は、その判断において「当事者の意思の合致」や「契約の自由度」を重視する基準を示している。
事件番号: 昭和26(オ)686 / 裁判年月日: 昭和27年3月18日 / 結論: 棄却
高等裁判所が判決破棄の理由となつた旧大審院の法律上の見解に従つて事件を処理した以上、旧大審院の見解が間違つていると否とにかかわらず、その高等裁判所の判決に対する上告があつた場合、最高裁判所は、右判決を違法視することはできない。
事件番号: 昭和35(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
講の実態が営業的無尽であつて、相互銀行法第二条第一項第一号に違反するとしても、これをもつて直ちに講と加入者との間の講に関する契約が公序良俗に違反し無効となるものではない。
事件番号: 昭和33(オ)116 / 裁判年月日: 昭和37年5月18日 / 結論: 破棄差戻
民法第一八七条第一項は相続による承継にも適用がある。