高等裁判所が判決破棄の理由となつた旧大審院の法律上の見解に従つて事件を処理した以上、旧大審院の見解が間違つていると否とにかかわらず、その高等裁判所の判決に対する上告があつた場合、最高裁判所は、右判決を違法視することはできない。
高等裁判所がその事件について旧大審院が示した意見に従つて事件を処理した場合とその高等裁判所の判決の適否
裁判所法施行令(昭和22年政令24号)1条1項,裁判所法4条,民訴法407条2項
判旨
不動産の共有者が、民法250条の平等の推定と異なる持分を第三者に対抗するには、その持分割合の登記を要する。共有持分を均等なものと信頼して譲り受けた善意の第三者は、登記のない異なる持分割合の主張を排斥することができる。
問題の所在(論点)
不動産の共有者間において、民法250条の推定(各共有者の持分は等しいものと推定する)と異なる持分の定めがある場合、その持分を登記しなければ第三者に対抗することができるか。また、その譲受人は民法177条の「第三者」に該当するか。
規範
不動産を共有する者が、民法250条の平等の推定(持分均等)と異なる持分割合を第三者に対して主張するには、その持分割合の登記を要する。実体上の持分割合と異なる「単なる共有の登記」がなされている場合、対第三者関係においては持分は均等として扱わざるを得ない。したがって、共有者の持分を均等なものとして善意で譲り受けた者は、登記を欠く特約の持分について対抗を免れる「第三者」にあたる。
重要事実
不動産の共有者間に、民法250条の推定とは異なる持分の特約があったが、登記上は具体的な持分割合が示されない「単なる共有」の状態であった。その後、この共有者の一人から、持分が均等であると善意で信じて持分を譲り受けた者が現れた。本来の持分割合を主張する上告人と、譲受人との間で持分の範囲が争われた事案において、差戻前の上告審(旧大審院)は譲受人の利益を保護する判断を示した。
事件番号: 昭和36(オ)680 / 裁判年月日: 昭和38年7月9日 / 結論: 棄却
後見人が被後見人の所有土地を同人のために占有していたにすぎない場合には、後見人が自ら所有の意思を以て占有したものとはいえない。
あてはめ
本件では、共有者間に異なる持分の特約があったものの、登記上はその割合が明示されていなかった。この状態は第三者から見れば持分均等の推定が働く外観を呈している。譲受人は、この外観に基づき持分を均等と信頼して譲り受けたものであり、かつ善意であった。かかる譲受人は、登記のない特約による持分の対抗を拒みうる正当な利益を有する「第三者」に該当するため、登記を欠く上告人は自らの持分割合を主張できない。
結論
不動産の共有持分について、実体上の割合が均等でない場合であっても、その登記がない限り、善意の譲受人に対してその割合を主張することはできない。
実務上の射程
共有持分の割合が登記されていない場合における民法177条の適用場面を示す。物権変動のみならず、持分比率という物権の「態様」についても登記が対抗要件となることを明示した点に意義がある。答案上は、不動産の持分売買における登記の公示力の限界や、第三者の保護範囲を論ずる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和41(オ)666 / 裁判年月日: 昭和42年10月31日 / 結論: 棄却
乙ほか五名共有の土地が一方甲に譲渡され、他方丙をへて乙に譲渡された場合、乙が所有権取得登記を経由しても、甲は、登記なくして乙に対し右土地の所有権取得を対抗することができる。
事件番号: 昭和37(オ)875 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。