改正条例に基づく山林払下げの議決が、右条例改正の告示前になされた場合でも、同改正条例の付則に告示前から施行する旨の規定がある以上、地方自治法第一六条第三項の規定にかかわらず告示とともに議決が遡及して効力を生ずるとした原審判断の当否は、ともあれ、右議決に基づく売却処分そのものが告示的になされている本件としては、右売却処分が無効であるとはいえない。
告示との関係で条例改正の遡及効が問題となつた事例
地方自治法16条3項,地方自治法96条1項1号
判旨
共有物の保存行為として、将来の妨害を予防する趣旨で、共有者の同意なく行われる立木の売買等の一定行為の禁止を求めることができる。また、処分行為自体が効力発生要件を充足する時点で行われていれば、前提となる議決等が要件充足前であっても、当該処分の効力は否定されない。
問題の所在(論点)
1. 共有物である立木の売買等の禁止を求めることが認められるか。2. 行政上の告示前に議決がなされた売却処分の効力が認められるか。
規範
共有物の管理・処分について、他の共有者の権利を侵害し、または事実上の不利益を及ぼすおそれがある場合には、共有権に基づき、将来の妨害を予防する趣旨で当該行為の禁止を求めることができる。また、行政処分等の効力は、処分がなされた時点における法規および事実状態に基づき判断される。
重要事実
上告人と被上告人は山林に生立する立木を共有していたが、上告人は他の共有者である被上告人の同意を得ずに立木の売買等を行おうとした。これに対し、被上告人は共有権に基づき売買・贈与等の禁止を求めた。また、関連する売却処分に関して、売却承認の議決は告示前であったが、実際の売却処分そのものは告示後に行われていた。
事件番号: 昭和35(オ)86 / 裁判年月日: 昭和37年3月2日 / 結論: 棄却
山林の入口、山林内路傍、山林頂上の三ケ所の立木に、幅約二〇糎、長さ約四五糎、厚さ約二糎の板に、「a山林六町七反八畝歩は名義人において買受けたから伐採を禁ずる」旨記載した立札を釘で打付けたこと、右山林は俗にbと呼ばれていることの事実があるときは、右立札による公示は、右山林内の立木所有権の明認方法として有効である。
あてはめ
1. 本件禁止請求は、立木の共有持分権の処分を禁ずるものではなく、立木そのものに関する一定行為を禁ずるものである。共有立木の売買等は共有者の同意なくしては法律上不能であるが、強行されれば被上告人が事実上の不利益を被るおそれがあるため、予防的措置として禁止が認められる。2. 売却承認の議決が告示前であっても、売却処分自体は告示より後の昭和27年12月10日になされているため、当該処分の効力は有効である。
結論
1. 共有権に基づく妨害予防として、共有物の無断処分行為の禁止請求は認められる。2. 告示後の処分であれば、前提行為が告示前であってもその効力は妨げられない。
実務上の射程
共有持分権ではなく、共有物そのものの処分権能を侵害する行為(本件では立木の売却等)に対する差止請求の根拠として活用できる。物権的請求権における「妨害予防」の観点から、共有者の同意を欠く処分の事実上の不利益を防止する構成を示すものである。
事件番号: 昭和30(オ)688 / 裁判年月日: 昭和31年12月28日 / 結論: 棄却
一 山林の不法伐採禁止を請求された者が、「伐採個所は隣接する長男所有地の境界内の土地で約二十五年間継続して占有し植林、刈払いの手入れをして来た」等、原判決記載のような主張(原判決事実摘示参照)をして不法伐採の事実を争つた場合に、右土地に対する時効取得の有無を問うことなく同人を敗訴させても、釈明権不行使の違法ありとするこ…
事件番号: 昭和35(オ)900 / 裁判年月日: 昭和37年8月3日 / 結論: 棄却
山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。
事件番号: 昭和27(オ)352 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法242条ただし書の規定により権原に基づいて不動産に附属させた物の所有権は、対抗要件(明認方法等)を備えずとも、不動産の譲受人を含む第三者に対抗することができる。 第1 事案の概要:被上告人は、正当な権原に基づいて他人の土地に立木を植栽した(民法242条ただし書)。その後、上告人が当該土地の所有…