鉱物が異種の鉱床中に存するかどうかは鉱山局長通牒の五分類に拘束されることなく、個々の場合に当つて具体的に決せられるべきである。
鉱物が異種の鉱床中に存するかどうかと通商産業省鉱山局長通牒の鉱物の五分類
鉱業法16条
判旨
鉱物が異種の鉱床中に存するか否かは、通牒による一律の分類のみによらず、個々の出願場所における成因や賦存状況等の具体的状況に基づき事実認定によって決定されるべきである。
問題の所在(論点)
鉱業法に基づく試掘権設定において、複数の鉱物が「異種の鉱床」に存するか否かの判断基準、およびその判断にあたっての事実認定の在り方が問題となった。
規範
鉱業法上の試掘権設定に関連し、鉱物が「異種の鉱床中に存するか」の判断は、行政庁による一律の分類基準(通牒等)が一般的妥当性を有する場合であっても、それに拘束されるものではない。地方ごとの鉱物の成因及び賦存の状況の差異を考慮し、個別の出願場所における具体的状況に即した事実認定によって決せられるべきである。
重要事実
上告人は、本件試掘権の鉱区内において、鉄鉱と金鉱、銀鉱、硫化鉄鉱、硫黄及び明ばん石が同種の鉱床に存すると主張して、試掘権設定許可処分の取消しを求めた。原審は、証拠に基づき、当該地区においてはこれらの鉱物が異種の鉱床中に存すると認定し、本件許可処分に違法はないとした。上告人は、個々の許可に際し実地調査が必要であることや、立証責任の分配の誤りを主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、原審の「具体的になされるべき事実認定によって決せられる」との判示について、必ずしも実地調査を必須とする趣旨ではないと解した。通産省の通牒による分類が全国的に妥当であっても、地質的特性は地域により異なるため、具体的出願場所ごとに判断すべきとした。本件では、証拠により鉄鉱と他の鉱物が異種の鉱床にあると認定されており、可能な限り多くの鉱物を同一試掘権者に試掘させるべき法的根拠もないため、原審の認定は適法であるとした。
結論
本件試掘権の鉱区内において、鉄鉱とその他の鉱物が異種の鉱床に存するとした原審の認定に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
行政処分の要件となる専門的・技術的な事実認定において、行政通達等の一般的基準に依存しすぎず、個別具体的な事情(本件では地理的・地質的状況)を重視する姿勢を示したものといえる。答案上は、裁量権の行使や事実認定の合理性を論じる際、個別事情を捨象した画一的判断の当否を検討する材料として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)1001 / 裁判年月日: 昭和35年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公文書であっても、その成立の真正(形式的証拠力)と内容の真実性(実質的証拠力)は別個の問題であり、裁判所は他の証拠と照らして公文書の記載内容を排斥することができる。 第1 事案の概要:上告人らは、小作台帳等の公文書(甲第9号証等)に基づき、買収対象地以外に所有する小作地の面積を主張した。しかし、農…
事件番号: 昭和28(オ)375 / 裁判年月日: 昭和31年3月2日 / 結論: 棄却
買収農地の売渡に際し、買収の時期において右土地の転借人としてこれを耕作していた甲が売渡手続の存在を知らなかつたため買受の申込をせず、転貸人乙が耕作者として買受の申込をしたため乙を相手方として売渡処分が行われた結果、乙は右土地の所有権を取得し、甲の耕作権は一旦消滅したが、爾後も乙は自ら右土地を耕作せず引き続き甲にこれを耕…