違法性がない。
連合国最高司令官の命令に基づき法務府特別審査局係官がしたアカハタの印刷等に関する資料・器材等の差押封印行為の違法性の有無。
昭和25.6.26連合国最高司令官の内閣総理大臣あてアカハタの発行停止に関する書簡
判旨
連合国最高司令官の指令が日本国憲法や国内法と抵触する場合、指令の実施については憲法および国内法の適用が排除される。降伏条項実施の範囲外であることが極めて明白でない限り、当該指令に基づく公務員の行為は義務行為として違法性を欠く。
問題の所在(論点)
連合国最高司令官の指令に基づく公務員の執行行為について、日本国憲法および国内法の適用があるか。また、憲法等と抵触する指令に基づく行為が公務員としての「義務行為」として違法性を阻却されるか。
規範
連合国最高司令官は、降伏条項を実施するため、日本国憲法にかかわらず、法律上全く自由に自ら適当と認める措置をとり、日本官庁の職員に指令を発してこれを遵守実施させることができる。この際、右指令の実施と日本国憲法および国内法が抵触するときは、憲法および国内法の適用が排除される。また、当該指令が降伏条項実施の範囲外であることが極めて明白でない限り、その執行行為は義務行為として違法性を有しない。
重要事実
特別審査局係官が、連合国最高司令官の書簡(指令)に基づき、内閣総理大臣を通じて発せられた命令に従って、新聞等の発行停止に関連する差押封印行為を実施した。上告人は、当該行為が日本国憲法および国内法に違反し、違法・無効であると主張して、その公務執行の違憲性および違法性を争った。
あてはめ
本件差押封印行為は、連合国最高司令官がいわゆる直接管理の方式により、自ら適当と認めて発した命令の範囲内で行われたものである。また、右命令が降伏条項実施の範囲外であることが極めて明白であるとはいえない。したがって、憲法等の適用は排除され、係官による執行は正当な権限に基づく義務行為であり、違法性を有しないと解される。
結論
本件差押封印行為は義務行為として違法性を有さず、日本国憲法違反の主張は採用できない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
占領下におけるポツダム宣言受諾に伴う特殊な法状況(超憲法的効力)を認めた判例。現代の事案に直接適用される場面は限定的だが、公務員が上命に従った行為の違法性阻却(職務執行の適法性)を議論する際の歴史的・理論的参照点となる。
事件番号: 昭和26(オ)186 / 裁判年月日: 昭和35年10月10日 / 結論: 棄却
一 昭和二一年勅令第二九四号「連合国財産の返還等に関する件」第二条に基く大蔵大臣の命令によつて生じた財産権の喪失につき、直接憲法第二九条第三項の規定を根拠として国に対し補償を求めることはできない。 二 昭和二一年勅令第二九四号「連合国財産の返還等の件」第二条に基づく大蔵大臣の命令によつて生じた財産権の喪失に付き、国に対…