判旨
共有地を分筆し、その一部を他者に譲渡した場合において、残余の土地を共有のまま維持する合意が存在したと認められるときは、当該土地について実質的な共有物分割が行われたとはみなされない。
問題の所在(論点)
共有地が分筆され、その一方が譲渡された場合において、残余の土地について共有関係が解消されたとみるべきか、それとも共有関係が継続しているとみるべきか(共有物分割の成否)。
規範
共有地の分筆登記がなされた際、一部の土地を第三者に譲渡する一方で、残余の土地については引き続き共有関係を維持する意思がある場合には、分筆そのものが直ちに全共有持分の解消(共有物分割)を意味するものではない。事実認定において、分筆後の各土地の帰属や処分の経緯から、当事者の合理的な意思を解釈すべきである。
重要事実
元来、DおよびEの共有に属していた山林(二町五反余)について、明治37年に2筆の土地(b、c)に分筆登記がなされた。分筆後、b地はFへと譲渡されたが、c地については引き続きD・E両名の共有のまま維持された。上告人は、b地をD、c地をEの取り分とする実質的な共有物分割が行われたと主張したが、原審は分筆後の処分の経緯に基づき、c地については共有関係が継続していると認定した。
あてはめ
本件では、分筆登記と同時にb地がFに譲渡された事実がある一方で、c地については分筆後もDおよびEの共有名義のまま据え置かれている。上告人は、DとEの間で持分に関する争いがあり、b地をD、c地をEの取り分とする分割合意があったと主張するが、原審はこれを認めず、むしろ分筆および譲渡の経緯から、c地については共有を継続させる意思があったと推認した。最高裁も、証拠に基づく自由な事実認定の範囲内としてこれを肯定し、共有物分割の成立を認めなかった。
結論
c地については実質的な共有物分割が行われたとは認められず、引き続き共有関係が存続する。
事件番号: 昭和36(オ)315 / 裁判年月日: 昭和39年1月30日 / 結論: その他
一 甲乙両名が共同相続した不動産につき乙が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに第三取得者丙が乙から移転登記をうけた場合、甲は乙丙に対し自己の持分を登記なくして対抗できる。 二 右の場合、甲が乙丙に対し請求できるのは、甲の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であつて、各登記の全部抹消を求めることは許されない。
実務上の射程
共有物の分筆がなされたからといって、当然に全ての土地について共有関係が解消されるわけではないことを示す。答案上では、共有物分割の成否が争点となる場面において、分筆後の登記態様や譲渡の有無といった客観的事実から当事者の分割意思を認定する際の考慮要素として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
講の実態が営業的無尽であつて、相互銀行法第二条第一項第一号に違反するとしても、これをもつて直ちに講と加入者との間の講に関する契約が公序良俗に違反し無効となるものではない。
事件番号: 昭和37(オ)875 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。
事件番号: 昭和34(オ)212 / 裁判年月日: 昭和36年3月16日 / 結論: 棄却
所有権確認訴訟の係属中、訴訟の目的たる権利を原告から譲り受けたことを主張して訴訟参加をした者が、第二審で勝訴し、被告が参加人を相手方として上告の申立をしたときは、原告のためにもその効力を生じ、同人は被上告人たる地位を取得したものと解すべきである。