内縁解消の申入れをして不当に内縁を破棄した者の責任は、相手方が該申入に応じたことによつて消長を来さない。
内縁解消の申入れに応じた場合と不法行為責任。
民法709条
判旨
内縁関係の一方的破棄により発生した損害賠償責任は、相手方が事後にやむなく解消の申入れに応じたとしても消滅せず、また当該解消に共同加工した第三者も連帯して不法行為責任を負う。
問題の所在(論点)
1. 内縁解消の申入れに相手方が事後的に合意(承諾)した場合、先行する不当破棄に基づく不法行為責任は消滅するか。 2. 内縁当事者以外の第三者が内縁解消に関与した場合、民法719条の共同不法行為が成立するか。
規範
1. 内縁関係を一方的に破棄したことによって生じた不法行為責任は、その後に相手方が解消の申入れにやむなく応じたとしても影響を受けない。 2. 個々の行為が単独で不法行為を構成しない場合であっても、その結果として内縁解消を余儀なくさせた場合は、不法行為責任を負う。 3. 第三者が内縁の不当破棄に共同加工した場合には、民法719条に基づき連帯して賠償責任を負う。
重要事実
上告人A1は、被上告人との内縁関係について一方的に解消を申し入れ、これを破棄した。被上告人は、上告人A1による解消の申入れに対し、最終的にはやむなくこれに応じる形となった。また、上告人A1の両親であるA2およびA3も、この内縁破棄の過程において共同して加担(共同加工)していた。被上告人は、上告人ら3名に対し、内縁の不当破棄に基づく慰謝料等の支払いを求めて提訴した。
あてはめ
1. 上告人らが先に内縁関係解消の申入れを行い、実質的に破棄した事実がある以上、その時点で不法行為責任が発生する。被上告人が後に「やむなく」これに応じたとしても、それは強制された結果に過ぎず、先行して発生した責任を免除させるものではない。 2. A2・A3についても、A1による不当破棄の過程に共同加工したと認められる以上、個々の行為の違法性の有無にかかわらず、全体として内縁解消という結果を招いた責任を負う。したがって、上告人ら3名は共同不法行為者として連帯責任を負うべきである。
結論
内縁の不当破棄による損害賠償請求は認められる。相手方の事後の同意は責任を左右せず、関与した第三者も民法719条により連帯して慰謝料支払義務を負う。
実務上の射程
内縁破棄における「合意解消」の抗弁を限定的に解釈する際に有用である。特に、相手方の同意が「やむなく」なされたものである場合は、実質的な不当破棄として不法行為が成立することを明示している。また、親族等の第三者が介入して内縁を解消させた場合に、719条を適用して連帯責任を追及するための有力な根拠となる。
事件番号: 昭和39(オ)902 / 裁判年月日: 昭和43年4月23日 / 結論: 棄却
共同行為者各自の行為が客観的に関連し共同して流水を汚染し違法に損害を加えた場合において、各自の行為がそれぞれ独立に不法行為の要件を備えるときは、各自が、右違法な加害行為と相当因果関係にある全損害について、その賠償の責に任ずべきである。