判旨
控訴審において、第一審が尋問した証人の再尋問申請があった場合でも、民事訴訟法上の証拠調べの必要性の有無の判断(旧民訴法187条3項後段の不適用)は事実審の専権に属し、特段の事情がない限り、却下は違法ではない。
問題の所在(論点)
控訴審において第一審の証人を再尋問する申請がなされた場合、裁判所がこれを却下することは民事訴訟法上の証拠調べの原則に照らして許されるか。事実審の証拠調べに関する裁量の範囲が問題となる。
規範
証拠調べの必要性の有無を判断し、証拠調べの限度を定めることは、事実審裁判所の専権に委ねられている。また、第一審が尋問した証人につき控訴審で再尋問の申請があった場合、これを却下するか否かは裁判所の裁量に属し、特段の事由がない限り違法とはならない。
重要事実
上告人は、第一審で既に尋問が行われた証人について、控訴審において再度尋問することを申請した。しかし、原審(控訴審)はこの証人尋問申請を却下し、証拠調べを行わずに判決を下した。これに対し上告人は、当該申請の却下が違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、控訴審は上告人が提出した再尋問の申請を却下している。証拠調べの要否は裁判所の専権事項であり、第一審で既に尋問がなされた証人を再度呼ぶ必要がないと判断した原審の決定を覆すべき特段の事情は認められない。したがって、証拠採用の限度を定めた原審の措置に裁量権の逸脱・濫用といった違法があるとはいえない。
結論
控訴審における再尋問申請を却下した原審の判断に違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
控訴審の続審的性格から、第一審の証拠調べ結果を維持しつつ、新たな証拠調べを行うか否かは裁判所の広い裁量に属することを確認した事例である。実務上、同一証人の再尋問が認められるためには、第一審の尋問では不十分であった点や新事実の判明など、必要性を基礎付ける具体的な特段の事情を疎明する必要がある。
事件番号: 昭和32(オ)661 / 裁判年月日: 昭和34年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において原審の事実認定を争うことは、それが原審の専権に属する証拠の取捨および事実の認定に対する非難にすぎない場合、上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人が、原審が認定した事実およびその基礎となった証拠の取捨選択の不当を理由として、最高裁判所に上告を提起した事案。判決文中に具体…