特段の反証のないかぎり原審口頭弁論調書の記載に反する事実を以て上告理由とすることはできない。
原審口頭弁論調書の記載に反する事実を以て上告理由とすることができるか
民訴法147条
判旨
当事者が口頭弁論において相手方の主張事実を認める陳述をした場合、民事訴訟法上の自白が成立し、裁判所はこれに拘束される。
問題の所在(論点)
当事者が口頭弁論で陳述した事実に基づき裁判所が事実認定を行うことが、弁論主義(当事者の主張しない事実に基づく判決の禁止)に反するか。
規範
口頭弁論において当事者が相手方の主張と一致する事実を陳述し、または相手方の主張した事実を認めた場合、裁判所はその事実を判決の基礎としなければならず、これに反する認定をすることは許されない(自白の裁判所拘束力)。
重要事実
被上告人が「上告人は本件家屋の早期明渡しを約束しながら無権原で占有している」と陳述したのに対し、上告人は「被上告人から金員を借り受けた事実は認める(ただし数額を除く)」と陳述した。原審は、上告人が債務弁済に代えて本件家屋を被上告人に譲渡したと認定した。
あてはめ
原審の口頭弁論調書によれば、被上告人の明渡し要求に関する陳述と、上告人の借財に関する認否がなされている。特段の反証がない限り、調書の記載内容(当事者の陳述)は事実として扱われるべきであり、原審がこれらの陳述を背景に代物弁済による譲渡の事実を認定したことは、当事者の主張に基づかない不意打ちの認定にはあたらない。
結論
原審が当事者の陳述に基づいて事実を認定したことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
弁論主義の第一テーゼ(主張責任)および自白の拘束力に関する基本的な判例。当事者の準備書面や口頭弁論での認否が裁判所の認定を拘束する範囲を画定する際に参照される。
事件番号: 昭和32(オ)111 / 裁判年月日: 昭和34年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所に対する自白(裁判上の自白)が成立した場合、その撤回は原則として許されず、撤回を認めるべき特段の事情がない限り、裁判所は自白された事実を基礎として裁判しなければならない。 第1 事案の概要:被上告人が、昭和29年1月に上告人(家屋所有者および敷地所有者の代理人)との間で家屋および敷地を代金3…
事件番号: 昭和35(オ)1037 / 裁判年月日: 昭和36年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論において当事者間に争いのない事実は自白としての効力を有し、裁判所はこれに拘束される。そのため、提出された証拠の記載が自白の内容と矛盾する場合であっても、裁判所は自白に反する事実認定を行うことはできない。 第1 事案の概要:本件土地の所有権について、被上告人の所有に属する事実が第一審判決の事…