訴訟代理人たる弁護士が、口頭弁論において、本件建物は買受当時未完成ではあつたが、法律上の建物として既に不動産化されていた旨陳述した場合は、右建物が買受当時具体的に一個の建物と認めうる状態にあつた事実の陳述を包含するものとして、その範囲において自白が成立しうるものと解すべきである。
自白の成立を認めた事例
民訴法257条
判旨
当事者が法律的用語を用いて陳述した場合であっても、それが具体的な事実関係の表現として事実上の陳述たる意義を含むときは、その範囲で裁判上の自白が成立する。
問題の所在(論点)
弁護士が「法律上の建物として既に不動産化されていた」という法律的用語を用いて行った陳述について、主要事実に関する裁判上の自白が成立するか。
規範
裁判上の自白(民事訴訟法179条)の対象は原則として事実であるが、法律的用語を用いた陳述であっても、それが同時に具体的な事実関係の表現として事実上の陳述たる意義を含むと解される場合には、その範囲において自白が成立する。
重要事実
上告人の代理人弁護士が、原審の口頭弁論において「本件建物は買受当時、未完成ではあったが、法律上の建物として既に不動産化されていたものである」旨を陳述した。後にこの陳述の自白としての効力が争点となった。
あてはめ
陳述者が弁護士であり、その職業や法律的知識の程度に照らせば、右陳述には、少なくとも本件家屋が「屋根および周壁を有し、土地に定著した一個の建造物」と認めうる状態にあったことを前提とする事実上の陳述が包含されていると解するのが相当である。したがって、建物の物理的状態という事実に関する自白が成立しているといえる。
結論
本件陳述には事実上の陳述が含まれるため、自白の成立を認めた原審の判断は正当であり、裁判所は建物該当性について別途具体的な審理判断を要しない。
実務上の射程
権利自白(法律判断に関する陳述)であっても、その前提となる具体的事実を推認させる場合には事実の自白としての拘束力を認め得ることを示した。答案上は、専門家である弁護士の陳述であることを重視して、事実上の陳述の包含性を肯定する論理として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)960 / 裁判年月日: 昭和38年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】相手方の本人尋問における供述内容を自己に有利なものとして援用したとしても、それにより直ちに裁判上の自白が成立するものではない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人の間の建物等に関する紛争において、被上告人が所有権移転登記義務につき先給付の約定があった旨を本人尋問において供述した。上告人は、この供述…