二割位取り毀された建物であつても、原審認定の事実関係のもとにおいては、社会通念上不動産であるといえる。
取毀し途中の建物が社会通念上不動産といえるとされた事例
民法86条
判旨
不動産である建物の認定については、その払下当時において社会通念上建物の形態を備えていたか否かによって判断すべきである。また、賃料の約定がないまま占有が継続した場合、統制法令の改正後の賃料相当損害額は、当時の鑑定結果に基づき算定することができる。
問題の所在(論点)
1. 払下げを受けた物件が「建物(不動産)」として認められるための判断基準。 2. 賃料の約定がないまま占有が継続し、かつ途中で賃料統制が解除された場合における賃料相当損害額の算定の妥当性。
規範
「建物」が不動産(民法86条1項)に該当するか否かは、当該物件が社会通念上「建物の形態を備えているか」によって決すべきである。また、不法占有等に伴う賃料相当額の認定に際しては、賃料統制の有無や鑑定評価等の諸事情を考慮して合理的に算定されるべきである。
重要事実
被上告人が国から払い下げを受けた本件建物について、上告人は当該物件が払下当時不動産としての形態を欠いていたと主張して、その所有権や不動産性を争った。さらに、被上告人と訴外Dらとの間では本件建物の賃貸借がなされていたが、賃料の約定は存在しなかった。上告人が本件建物を占有した後、昭和25年7月の地代家賃統制令の改正により賃料統制が解除されたため、解除後の賃料相当額の算定が争点となった。
あてはめ
1. 本件物件は、その払下当時において既に「建物の形態を備えていた」と認定される。これは社会通念上、土地に定着し、屋根・周壁等を有して独立した排他的占有が可能な状態にあったことを意味し、不動産としての要件を満たす。 2. 賃料相当額については、占有開始後に地代家賃統制令が改正され統制を受けなくなった事実に鑑み、原審が採用した鑑定評価に基づき、その後の賃料相当額を算定することは、実態に即した合理的な評価として違法ではない。
結論
本件物件は払下当時から不動産であり、統制令改正後の実勢に基づき算定された賃料相当額の支払義務が認められる。上告棄却。
実務上の射程
「建物」の定義に関する古典的な判例であり、解体前や建築中の物件がいつ「建物」となるかという論点(民法86条1項)において、「社会通念上の形態」を重視する実務の基礎となる。また、賃料相当損害額の算定において、公的規制の変動が考慮されるべき点も示唆している。
事件番号: 昭和27(オ)661 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の使用が賃貸借契約ではなく、雇用関係(一種の委任関係)に基づくものである場合、その占有は契約関係の存続を前提とするものであり、特段の賃借権は成立しない。裁判所が当事者の主張した雇用関係を一種の委任関係と表現して認定しても、当事者の申し立てない事実を認めたことにはならない。 第1 事案の概要:上…