用紙の差替自由な帳簿を証拠として採用したからといつて違法でない。
用紙の差替自由な帳簿の証拠力
民訴法185条,民訴法311条
判旨
書証の証拠力については、裁判所が諸般の事情を斟酌し、自由な心証によってその真実性を判断すべきであり、用紙の差し替えが可能な帳簿を証拠として採用することも違法ではない。
問題の所在(論点)
用紙の差し替えが容易な帳簿を証拠として採用し、その記載内容に基づいて事実を認定することが、自由心証主義の観点から許されるか。
規範
書証の記載内容が真実に合致するか否か(実質的証拠力)の判断は、裁判所が諸般の事情を斟酌し、自由な心証によって決すべき事柄である(自由心証主義、民事訴訟法247条)。証拠の形状や作成の形式が、直ちにその証拠能力や証拠価値を否定する理由にはならない。
重要事実
上告人らは、原審が事実認定の基礎とした証拠のうち、帳簿が用紙の差し替えが自由な形態(ルーズリーフ形式等)であったことを問題視した。上告人らは、このような差し替え可能な帳簿を証拠として採用し、事実を認定した原審の判断には違法があると主張して上告した。
あてはめ
証拠の真実性は、形式的な形状のみによって一律に決まるものではなく、他の証拠との整合性を含めた諸般の事情から総合的に判断されるべきである。本件において、原審が「用紙の差替自由な帳簿」を証拠として採用したことは、自由な心証に基づく証拠力の評価の範囲内にある。他の証拠と合わせて事実を認定した過程に、論理則や経験則に反するような違法性は認められない。
結論
差し替え可能な帳簿を証拠として採用した事実に違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
自由心証主義における証拠力の評価に関する基本判例である。答案上は、相手方が提出した証拠(私文書や電磁的記録等)の改ざん可能性を理由に証拠力を争う場面において、形式的な不備が直ちに証拠力を否定するものではなく、裁判所の総合的な判断に委ねられることを説明する際の根拠となる。
事件番号: 昭和30(オ)647 / 裁判年月日: 昭和32年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が書証の作成経緯を説示し、これを判断資料として肯認できる理由を示している場合、当該証拠に基づき事実認定を行うことは適法である。また、上告審において原審で主張していない新たな事実を前提とする主張を行うことは許されない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審が甲第1号証(書証)の作成経緯等に関する…