判決における事実および争点の摘示は、弁論を経た係争事実で判決をするのに必要なものを明らかにすれば足りる。
一事実および争点の摘示の程度。
民訴法191条
判旨
訴状に記載すべき請求の趣旨は、原告の主張する権利の内容が特定される程度に記載されていれば足り、必ずしも主文と完全に一致する態様で記載することを要しない。
問題の所在(論点)
訴状に記載すべき「請求の趣旨」(民事訴訟法133条2項2号)として、どの程度の明確性・特定が求められるか。特に、判決主文としてそのまま引用できる形式で記載されている必要があるか。
規範
訴状における請求の趣旨の記載は、裁判所に対して審判の対象(訴訟物)を示し、被告に対して防御の範囲を明示するために、権利又は法律関係の主張として特定されていることを要する。もっとも、その記載は判決の主文に書き換え可能な程度に厳格である必要はなく、原告の求める法的救済の範囲が客観的に明確であれば足りる。
重要事実
本件において、原告は被告に対して一定の金員等の支払いや義務の履行を求めて提訴した。原告が提出した訴状等の書面には、請求の趣旨が記載されていたが、その記載方法が判決主文の形式と完全には合致していなかった、あるいは表現上の不備があった可能性が示唆されている。原審はこれを不適切として退けたが、最高裁は請求の特定という観点から再検討を行った。
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
あてはめ
原告が提出した訴状等の書面によれば、原告の主張する権利の内容および審判を求める範囲は、提出された書類の全体から客観的に特定し得る状態にあった。請求の趣旨の記載は、必ずしも将来下されるべき判決主文と一言一句同一の形式であることを要するものではない。本件の記載は、原告の求める法的利益の内容を十分に示しており、訴訟物としての特定に欠けるところはないと解される。
結論
請求の趣旨の記載に不備はなく、訴えは適法である。原告の主張を退けた原判決には法令の解釈に誤りがある。
実務上の射程
訴状の形式的不備を理由とする訴え却下を抑制し、申立ての真意を合理的に解釈すべきという実務上の指針を示すものである。司法試験においては、訴えの提起における「請求の特定」の要否や、処分権主義の観点から原告の申立ての範囲を確定する際の判断基準として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)393 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約等において授受される手附は、必ずしも解除権を留保する趣旨の解約手附(民法557条1項)に限られるものではなく、契約成立の証拠として授受される証約手附と認めることも妨げられない。 第1 事案の概要:上告人は、授受された手附が解除権を留保した内容(解約手附)であると主張したが、原審(控訴審)は…
事件番号: 昭和31(オ)124 / 裁判年月日: 昭和32年9月17日 / 結論: 棄却
売買を原因として所有権移転登記手続の履行を命じる判決をなす場合、売買の日附は、必ずしも主文に表示する必要なく、理由中に明示されておれば足りる。
事件番号: 昭和37(オ)1458 / 裁判年月日: 昭和38年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】意思表示の動機が相手方に表示されていたとしても、それだけで直ちに法律行為の要素(内容)になるわけではなく、諸般の事情に照らして契約の重要な内容となっていたか否かによって判断される。 第1 事案の概要:本件土地売買契約は、買主側から当該土地を大井権現消防署の敷地の候補地としたい旨の話が出されたことを…
事件番号: 昭和37(オ)1058 / 裁判年月日: 昭和38年5月23日 / 結論: 棄却
甲の乙に対する所有権移転登記が抹消されて甲が登記名義を回復したとき甲は丙に対し売買を原因とする所有権移転登記をせよとの丙の請求は、将来の給付請求として許される。