不動産の共有者が合意の上信託的に共有者の一人の単独所有名義に登記した場合、該不動産を所有名義人から買受けた第三者は所有権を取得する。
不動産の共有者が合意の上信託的に共有者の一人の単独所有名義に登記した場合に、所有名義人から買受けた第三者は所有権を取得するか。
民法177条,信託法31条
判旨
不動産の共有者が合意により、その所有権を共有者の一人に信託的に移転して単独所有とした場合、対外的関係においては、当該受託者が完全な所有権を取得する。
問題の所在(論点)
不動産の共有者が、合意により共有者の一人に信託的に単独名義を認めた場合、その受託者から不動産を譲り受けた第三者との対外的関係において、所有権の帰属はどうなるか。
規範
不動産の共有者が、その合意をもって信託的に特定の者に当該不動産を単独所有させた場合、対外的関係においては、受託者が当該不動産の単独所有権を取得するものと解すべきである。
重要事実
本件建物は、元来実質的にはDと上告人らの共有であった。しかし、Dと上告人らはその合意をもって、信託的に本件建物をDの単独所有とした。その後、Dは被上告人に対し、本件建物の所有権を譲渡した。
あてはめ
事件番号: 昭和38(オ)1137 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
甲乙の共有にかかる家屋について、甲が乙の作成名義を偽造して、売買による前所有権の移転登記をした場合において、甲の共有持分に関しては、右偽造による登記の無効を生ずることはない。
本件では、上告人らとDとの間に、本件建物を実質的な共有からDの単独所有とする信託的な合意が存在した。この合意により、本件建物の所有権は対外的にはDに帰属することになる。したがって、Dから本件建物を譲り受けた被上告人は、Dが適法な所有者であることを前提として、その所有権を有効に取得できるといえる。
結論
被上告人は本件建物の所有権を適法に取得しており、上告人らは被上告人に対して共有持分を主張することはできない。
実務上の射程
明文の信託法によらない「信託的譲渡(信託的登記)」の対外的効力を認めた判例である。答案上は、登記名義人と実質的権利者が異なる場合の権利帰属を論じる際や、譲受人の保護を基礎付ける法理として、対内関係と対外関係を区別する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和39(オ)204 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
家屋賃貸借契約の解除もしくは解約の申入による賃貸借の終了を主張してその後の賃料相当の損害金を請求する場合には、審理の結果右解除もしくは解約の効力が認められず賃貸借契約が依然として存続しているものと判断されるのであれば、特段の事情のないかぎり賃料請求として右請求を維持するものと解されるから、このような場合に、賃料の支払を…
事件番号: 昭和27(オ)911 / 裁判年月日: 昭和29年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産による代物弁済において、債務消滅の効力発生には登記等の具備を要するが、代物弁済契約自体に基づく所有権移転の効力は、特段の事情のない限り契約の成立(または停止条件の成就)によって生じる。 第1 事案の概要:債務者(上告人)と債権者との間で、期限までに債務の弁済がないことを停止条件とする代物弁済…
事件番号: 昭和44(オ)1270 / 裁判年月日: 昭和46年11月30日 / 結論: 棄却
相続人が、被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも、相続人は民法一八五条にいう「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべきで…