判旨
憲法は、最高裁判所が違憲審査権を行使する場合(81条)を除き、審級制度の具体的な内容は立法府の裁量に委ねている。
問題の所在(論点)
憲法が定める審級制度の保障の程度、および審級の構成を法律で定めることの合憲性が問題となった。
規範
憲法は、81条に定められた最高裁判所による違憲審査の場合を除き、裁判の審級制度をどのように構成するかについては立法政策の自由に委ねている。
重要事実
上告人は、旧民事訴訟法393条3項、409条ノ2第2項(当時の特別上告等に関する規定)が憲法に違反すると主張して上告した。
あてはめ
審級制度は憲法上、最高裁判所が終審裁判所として違憲審査を行う点を除けば、具体的にどのような階層構造にするかは立法府が適宜決定できる事項である。したがって、上告制限や特別上告の要件を法律で定めることは、憲法の認める立法裁量の範囲内といえる。
結論
民事訴訟法の審級に関する規定は憲法に違反しないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判を受ける権利(憲法32条)に関連し、三審制が憲法上絶対的に保障されているわけではなく、法律による制限が可能であることを示す判例として活用できる。
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…
事件番号: 昭和30(テ)17 / 裁判年月日: 昭和31年12月11日 / 結論: 棄却
民訴第四〇九条ノ二第二項の規定は憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和57(テ)11 / 裁判年月日: 昭和57年5月27日 / 結論: 棄却
民訴法四〇九条ノ二の規定及び民訴規則五九条によつて特別上告事件の訴訟手続に準用される民訴規則四六条ないし四九条の規定は、憲法三二条に違反しない。
事件番号: 昭和33(ク)158 / 裁判年月日: 昭和33年8月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は審級制度をいかに定めるかについて規定したものではなく、憲法81条が定める場合を除き、審級制度の設計は立法府の裁量に委ねられている。したがって、下級裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告を制限する規定は、同条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、下級裁判所が下した決定に対して最高裁…
事件番号: 昭和36(テ)25 / 裁判年月日: 昭和36年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を規定するが、裁判所の組織、権限、審級等の具体的制度は法律による立法政策の問題である。したがって、仮差押や仮処分に関する判決について通常の上告を認めない民事訴訟法の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、仮差押または仮処分に関してなされた判決に対し、通常の…