判旨
口頭弁論期日の閉廷後に出頭した場合は欠席(不出頭)にあたり、控訴審の第1回口頭弁論期日に控訴人が不出頭のまま弁論を終結し、その後の弁論再開を認めない裁判所の措置は、裁量権の範囲内として適法である。
問題の所在(論点)
1. 閉廷後の出頭が「不出頭」に該当するか(旧民訴法138条、現行法158条・263条等の適用)。 2. 控訴審の第1回期日において、控訴人が欠席したまま弁論を終結し、再開を認めない裁判所の判断は裁量権の逸脱として違法となるか。
規範
1. 口頭弁論期日に、閉廷後に出頭した場合は、遅参の理由を問わず、民事訴訟法上の「口頭弁論期日に出頭しないこと」に該当する。 2. 訴訟が裁判をするに熟したか否かの判断、および一度終結した弁論を再開するか否かの判断は、裁判所の自由裁量に属する。 3. この裁量は、控訴審の第1回口頭弁論期日に控訴人が不出頭のまま弁論が終結された場合であっても同様に認められる。
重要事実
控訴審の第1回口頭弁論期日において、控訴人(上告人)が閉廷後に出頭した。原審(控訴審裁判所)は、控訴人の不出頭を理由として弁論を終結した。これに対し上告人は、遅参には正当な理由があったこと、および控訴審の第1回期日で弁論を終結し再開を認めなかった原審の措置は違法・違憲であると主張して上告した。
あてはめ
1. 上告人が法廷に出頭したのは閉廷後であり、その理由の如何を問わず、客観的に期日への「不出頭」に該当すると評価される。 2. 弁論を終結させるか否か、また一度終結した弁論を再開するか否かは、裁判所の合理的な裁量に委ねられている。本件において、控訴審の初回期日であることを考慮しても、記録上、原審が弁論を終結し再開を認めなかったことに裁量権の逸脱や違法な点は見出せない。
結論
閉廷後の出頭は不出頭であり、弁論の終結および再開の拒否は裁判所の自由裁量に属するため、原審の措置は適法である。
事件番号: 昭和37(オ)744 / 裁判年月日: 昭和38年4月9日 / 結論: 棄却
弁論の再開を命ずる否とは裁判所の専権事項であり、第一審判決がいわゆる欠席判決である 場合にも、結論を異にすべきものではない。
実務上の射程
裁判所の弁論終結・再開に関する広範な裁量を認めた判例である。司法試験においては、期日への遅参が不出頭(擬制自白や取下げ擬制の要件)になること、及び職権による弁論再開(民訴法153条)が義務ではなく裁量であることを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和41(オ)853 / 裁判年月日: 昭和41年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告が呼出しを受けながら全審級で不出頭・不準備を貫いた場合、原告の主張事実を自白したものとみなす判断は相当である。また、訴訟完結を遅延させる目的のみで上告を提起したと認められるときは、上告審は過料の納付を命じることができる。 第1 事案の概要:上告人(被告)は、第一審において高血圧症を理由に度重な…
事件番号: 昭和32(オ)665 / 裁判年月日: 昭和36年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決言渡期日に出頭した当事者に対し、延期後の新期日を告知した場合には、その場にいなかった不出頭の当事者に対しても告知の効力が生じる。 第1 事案の概要:控訴審において、昭和32年2月1日の口頭弁論に出頭した被控訴人(上告人)代理人に対し、裁判所は判決言渡期日を同年2月15日と指定告知した。その後、…
事件番号: 昭和34(オ)370 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開は裁判所の職権に属する事項であり、裁判所が再開を命じなかったとしても直ちに違法とはならない。また、陳述されていない準備書面の記載内容について裁判所が釈明権を行使する義務はない。 第1 事案の概要:上告人は原審において準備書面を提出していたが、記録上、当該準備書面が口頭弁論で陳述された事実…