判旨
先物取引等が賭博にあたるか否かの判断において、当初から現物を受け渡す意思がなく、専ら差金決済のみを目的としていたという事実が認められない場合には、当該取引を違法なものと断ずることはできない。
問題の所在(論点)
本件商品先物取引が、現物の授受を目的としない差金決済のみを目的とした賭博的な取引として、公序良俗に反し無効となるか。
規範
取引が賭博(公序良俗違反)に該当し無効となるか否かは、委託当初から期限に商品及びその対価を現実に授受する意思を有せず、すべて期限前に転売又は買戻しをすることを指図し、差金の授受による決済をなし専ら差益金を取得する目的のみをもってなされた取引であるか否かによって判断される。
重要事実
上告人は、本件取引が当初から現物の受渡しを意図せず、差金決済による差益取得のみを目的としたものであると主張し、その無効を訴えた。しかし、第一審および原審は、上告人が主張する「現実の授受の意思を欠き、専ら差金決済のみを目的としていた」という事実を認めるに足りる証拠がないと判断した。
あてはめ
上告人は、本件取引が当初から差益取得目的の射幸的なものであると主張したが、裁判所は、客観的な証拠に照らし、現実の授受の意思を欠いていたという事実認定を否定した。したがって、取引の主観的・客観的態様が賭博に該当すると評価するための前提事実が欠けているといえる。
結論
本件取引が差金決済のみを目的とした賭博的なものであるとの事実は認められないため、上告を棄却し、取引を有効とした原判決を維持する。
実務上の射程
射幸性の高い取引の公序良俗違反が争われる事案において、取引の主観的な目的(現物授受意思の欠如)の立証が極めて重要であることを示す。答案上は、賭博該当性の判断要素として「現実の授受の意思の有無」を挙げる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)542 / 裁判年月日: 昭和33年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形所持人が正当な所持人であると認められる場合には、その権利行使を妨げる特段の事情がない限り、手形上の権利を行使することができる。 第1 事案の概要:被上告人が本件手形を所持し、その正当な所持人であると原審において認定された。上告人は原審の事実認定とは異なる事実を主張して、被上告人の正当な所持人と…