原判決引用の第一審判決の認定事実関係のもとで、当該会社が二年以上商号を使用しなかつたことに正当事由がないとして、その商号権の消滅を判断したことは是認できる。
商号不使用につき正当事由なしとした判断が是認された事例
商法30条
判旨
営業を廃止し、引き続き2年以上商号を使用しない場合において、商号不使用につき正当な事由が認められないときは、商法(旧法)の規定に基づき商号権は消滅する。
問題の所在(論点)
営業廃止後2年以上の商号不使用がある場合に、商号権が消滅するための要件、特に「正当な事由」の存否およびその判断枠組みが問題となった。
規範
商号権者が営業を廃止し、その後引き続き2年以上その商号を使用していない場合、当該商号権は消滅する。このとき、商号の不使用について「正当な事由」が存在しない限り、客観的な不使用の事実をもって商号権消滅の効力が生じる。
重要事実
上告会社(控訴会社)は営業を廃止した後、引き続き2年以上にわたって商号を使用していなかった。これに対し、被上告人は第一審および原審において、商法30条(旧法)に基づき商号権は消滅したと主張。上告人側は、被上告会社が上告会社の身代わりとして設立されたものである等の事情を主張し、商号不使用に正当事由がある旨を争った。
事件番号: 昭和33(オ)1030 / 裁判年月日: 昭和36年6月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】商標権は、商標権者がその営業を廃止したときは、旧商標法13条(現行法の解釈においても同様)により当然に消滅し、たとえ商標登録の抹消がなされていなくても、その後に営業廃止前の商標権を譲り受けることはできない。 第1 事案の概要:D社は昭和18年に解散決議を行い清算手続に入った。清算人が清算事務完了を…
あてはめ
原審が認定した事実によれば、被上告会社は上告会社の身代わりとして設立されたものではない。また、商号の不使用が単なる客観的事実として存在するだけでなく、不使用を正当化すべき特段の事情(正当な事由)も認められない。したがって、2年以上の不使用をもって商号権は消滅したと評価される。
結論
商号不使用につき正当な事由がないため、商号権は消滅しており、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は旧商法30条(現行商法15条、会社法13条参照)に関するものであるが、商号の排他的使用権が不使用によって喪失する際の「正当事由」の判断基準を示している。答案上は、長期間の不使用がある場合に、形式的な期間経過だけでなく、権利維持を認めるべき実質的・正当な事情の有無を検討する際の指針となる。
事件番号: 昭和34(オ)1188 / 裁判年月日: 昭和36年9月29日 / 結論: 棄却
わが国においてとくに市民の生活と関係のある有数の大会社で、世人にあまねく知られている甲会社が本店を移転する計画で建設した新社屋の所在地と同一行政区画内において、甲会社と同一の事業を営むに足りる能力および準備のない乙会社がその商号および目的を甲会社と同一のものに変更し、これを登記したこと、そのため、甲会社は新社屋所在地に…
事件番号: 昭和34(オ)832 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
商標権者が単に経済上の理由から事業を中止したに過ぎず、営業を廃止する主観的意図が認められない場合には、商標法(昭和三四年改正前)の営業廃止にあたらない。
事件番号: 昭和38(オ)491 / 裁判年月日: 昭和39年11月26日 / 結論: 棄却
甲乙双方の同一内容の標章を有する二つの商標権が登録されている場合には、右標章を使用している甲から乙の商標登録の無効審判が特許庁に請求され、乙の商標登録を無効とする審決に対し乙から右審決取消の訴が提起され、その訴訟が繋属中であつても、前記標章を現に使用している乙は、甲に対し、甲の商標権が営業廃止により消滅したとして、右商…