判旨
上告理由が原審の証拠取捨や事実認定を非難するにすぎない場合、それは適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
原審における証拠の取捨および事実認定を非難する主張が、民事訴訟法(当時の旧法)上の適法な上告理由に該当するか。
規範
最高裁判所への上告において、適法な上告理由となるためには、憲法違反や重大な訴訟手続の違背等が認められる必要がある。単なる事実誤認の主張や、原審の証拠選択・事実認定の妥当性を争うのみでは、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人は、原判決が引用する第一審判決の事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。具体的には、原審の証拠の取捨選択およびそれに基づく事実認定を非難する内容を上告理由として主張した。
あてはめ
上告人の主張は、原判決の依拠した証拠関係や事実認定のプロセスを不当とするものであるが、これは原審の裁量に属する専ら事実問題に関する非難である。このような主張は、法の適用や憲法解釈を争うものではなく、上告審が審理すべき法的瑕疵を指摘するものとはいえない。
結論
本件上告理由は、原審の証拠の取捨、事実認定を非難するにすぎず、適法な上告理由とならないため、上告は棄却される。
実務上の射程
上告審において「事実誤認」を正面から争うことはできず、それが憲法違反や経験則・論理則違反(裁量権の逸脱)に昇華されない限り、不適法とされる実務上の限界を示す。答案上では、上告理由の適格性を論じる際、事実認定への不服が直ちに法的主張にならない点を確認する際に参照する。
事件番号: 昭和28(オ)633 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が更正決定によるべき事項や事実認定の非難にすぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の不服を申し立てて上告したが、その主張内容は更正決定によって解決されるべき事項、または原審の事実認定を非難するものであった。 第2 問題の所在…
事件番号: 昭和28(オ)476 / 裁判年月日: 昭和28年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な事項を含まない上告は、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:上告人が、原判決に対して上告を提起した事案である。上告人は、事実誤認および単なる法令違反を主張の根拠としていた。判決文からは具…