判旨
農地法3条の許可を停止条件とする農地の売買契約において、知事による不許可の決定がなされたときは、特段の事情がない限り、売買はその効力を生ぜず確定的に不能となる。
問題の所在(論点)
農地法上の許可を条件とする農地売買において、知事による不許可処分がなされた場合、当該売買契約の効力は確定的に失われるか(条件不成就による確定的な無効となるか)。
規範
農地法3条に基づく都道府県知事等の許可を条件とする売買契約において、不許可の決定がなされた場合には、特別な事情のない限り、当該売買契約はその効力を生ずることがなくなり、確定的に無効(条件不成就)となる。
重要事実
被上告人(買主)は上告人(売主)から、知事の許可を条件として本件農地を代金40万円で買い受け、代金を完済した。その際、不許可となった場合に備え、返還されるべき代金および損害金を担保するため、本件農地に抵当権を設定した。その後、知事は本件売買について不許可の決定を下したが、原審は「不許可が絶対に確定したとは認められない」として、知事の許可を条件とする所有権移転登記手続を認容した。
あてはめ
本件契約では、不許可の場合の代金返還請求権を担保する抵当権が設定されており、当事者の意思として不許可を解除条件ないし条件不成就による効力喪失の契機としていたことが伺える。知事による不許可決定があった以上、再申請により許可が得られる見込みがある等の「特段の事情」がない限り、もはや売買の効力が生ずる余地はないというべきである。原審が特段の事情を審理せずに、不許可後も契約の有効性を前提に登記請求を認めたのは審理不尽である。
結論
不許可決定により、特段の事情がない限り契約は確定的に効力を生じない。原判決を破棄し、特段の事情の有無を審理させるため差し戻す。
事件番号: 昭和43(オ)1167 / 裁判年月日: 昭和44年9月11日 / 結論: 棄却
譲渡令による強制譲渡手続が譲渡令書の未交付の状態において譲渡令が廃止され、農地法が施行された場合は、該強制譲渡の手続を受け継ぐ手続は、農地法施行法一三条による農地法一五条およびこれに関連する法令による手続である。
実務上の射程
農地売買の条件付登記請求訴訟における抗弁として活用できる。知事の不許可処分があれば原則として条件不成就による契約の効力喪失が導かれるが、再申請の可能性など「特段の事情」の有無が実務上の争点となることを示唆している。
事件番号: 昭和55(オ)1023 / 裁判年月日: 昭和58年3月25日 / 結論: 棄却
民法五七六条但書にいう「担保ヲ供シタルトキ」とは、売主が買主との合意に基づいて担保物権を設定したか、又は保証契約を締結したなどの場合をいい、担保の提供について買主の承諾を伴わない場合はこれにあたらない。
事件番号: 昭和42(オ)427 / 裁判年月日: 昭和42年12月19日 / 結論: 棄却
仮登記原因の疎明の有無は、仮登記仮処分命令の効力に消長をきたすものではない。
事件番号: 昭和32(オ)923 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
一 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。 二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできない。
事件番号: 昭和34(オ)642 / 裁判年月日: 昭和35年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の許可を停止条件とする農地の売買契約において、地目が畑であり実態が農地であると認められる場合には、その性質に基づき適法な事実認定がなされるべきである。 第1 事案の概要:被上告人らは、上告人から本件土地を北海道知事の許可を停止条件として買い受けた。本件土地の地目は「畑」であり、原審において…