判旨
適式の呼出しを受けた訴訟代理人が、出頭表への署名や証人申請書の提出をしていたとしても、事件呼上げ時に在廷していなければ、口頭弁論期日に出頭しなかったものとみなされる。
問題の所在(論点)
訴訟代理人が出頭表への署名等の行為を行いながら、事件呼上げ時に不在であった場合に、口頭弁論期日への「出頭」があったといえるか(民事訴訟法上の期日における不出頭の判断基準)。
規範
民事訴訟法における期日への「出頭」とは、当該事件の呼上げ時に法廷に在廷し、訴訟行為をなし得る状態にあることを指す。出頭表への署名や書面の提出等の準備行為があったとしても、呼上げ時に現に在廷していない以上は、欠席(不出頭)として扱うのが相当である。
重要事実
上告代理人(控訴代理人)は、原審の第1回口頭弁論期日に向けて適式の呼出しを受けていた。当日、代理人は裁判所の出頭表に署名し、訴訟記録に証人申請書を添付するなどの行為を行ったが、いざ事件が呼び上げられた時点においては、法廷に在廷していなかった。原審はこれを不出頭として処理し、弁論を終結させたため、上告人は訴訟指揮の違法や憲法違反を主張して上告した。
あてはめ
本件において、上告代理人は適式の呼出しを受けており、期日の存在を認識していた。確かに、出頭表への署名や証人申請書の添付といった事実は、裁判所に来庁していたことを示唆する。しかし、口頭弁論は裁判官の面前で対面して行われるべきものであり、事件の呼上げ時に法廷に在廷していない以上、訴訟行為を行う意思と能力がその場に備わっていたとは評価できない。したがって、呼上げ時の不在をもって「出頭しなかった」と判断した原審の訴訟指揮に違法はない。
結論
事件呼上げ時に在廷していなかった以上、期日に出頭したとは認められず、不出頭として扱った原判決は正当である。
実務上の射程
期日における「出頭」の意義を厳格に解する判例であり、代理人が裁判所建物内にいたとしても呼上げ時に不在であれば欠席扱いとなるリスクを示す。実務上は、呼上げ時の在廷が絶対条件であることを再確認させる内容である。また、弁論再開の要請がないことも判断の一要素とされており、手続的救済の有無も考慮されている。
事件番号: 昭和33(オ)630 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟代理人の病気により期日への出頭が困難であっても、当事者本人や他の代理人による防御の余地があり、かつ証人尋問の不実施が当事者側の手続懈怠によるものである場合、期日変更をせず結審した判断に違法はない。 第1 事案の概要:上告人らの訴訟代理人が病気のため、口頭弁論期日に出頭することが困難な状況にあっ…