判旨
保険会社の保険募集人が行った不法行為について、それが保険の募集に際してなされたものである場合には、保険会社は保険募集の取締に関する法律(現:保険業法)に基づき賠償責任を負う。
問題の所在(論点)
保険募集人の行った不法行為が、保険募集の取締に関する法律11条(現行保険業法283条1項)にいう「保険の募集につき」なされたものといえるか。
規範
保険募集人が保険の募集について顧客に損害を加えたときは、特段の事情がない限り、当該保険募集人が所属する保険会社は、その損害を賠償する責任を負う(保険募集の取締に関する法律11条1項、現行保険業法283条1項参照)。
重要事実
上告会社(保険会社)の保険募集人であるD(別名E)が、被上告人らの先代であるFに対し、保険の募集に関連して不法行為を行い、損害を与えた。被上告人らは上告会社に対し、保険募集の取締に関する法律11条に基づき損害賠償を求めて提訴した。
あてはめ
Dは上告会社の保険募集人の立場にあり、本件不法行為は顧客であるFに対する保険の勧誘・募集の過程で行われたものである。このような外形および状況下で行われた行為は、客観的にみて「保険の募集につき」なされたものと認められる。したがって、上告会社は募集人の不法行為について同法上の責任を免れない。
結論
本件不法行為は保険の募集につきなされたものと認められるため、上告会社は損害賠償責任を負う。上告棄却。
実務上の射程
本判決は、保険募集人の不法行為に関する保険会社の法定責任(保険業法283条1項)の成立要件である「募集につき」の判断を示したものである。民法715条の「事業の執行について」と同様に、外形的に判断される。答案上は、募集人の具体的行為が保険契約の締結や勧誘と密接に関連している事実を指摘し、本条を適用する流れで用いる。
事件番号: 昭和34(オ)126 / 裁判年月日: 昭和37年4月20日 / 結論: 棄却
第二審判決理由を是認した判決。