株式会社の代表取締役が、その職務を行なうにつき不法行為をして他人に損害を加えたため、右株式会社がその賠償の責に任ずる場合には、右代表取締役も、個人として不法行為責任を負うものと解すべきである。
株式会社が商法二六一条三項、七八条二項、民法四四条一項により損害賠償責任を負う場合と代表取締役個人の不法行為責任
商法261条3項,商法78条2項,民法44条1項
判旨
株式会社の代表取締役が職務執行につき不法行為を行い、会社が損害賠償責任を負う場合、当該代表取締役も個人として不法行為責任を負う。
問題の所在(論点)
代表取締役が職務執行として行った行為が不法行為に該当し、会社が責任を負う場合に、当該代表取締役個人も相手方に対して直接の不法行為責任を負うか。
規範
株式会社の代表取締役が、その職務を行うにつき不法行為をして他人に損害を加えたことにより株式会社が賠償責任を負う場合であっても、当該代表取締役個人は、会社とは別個に一般不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を免れるものではない。
重要事実
上告会社(株式会社)の代表取締役である上告人Aが、その職務執行に際して被上告人に対し不法行為を行い、損害を与えた。被上告人は、会社のみならず代表取締役A個人に対しても損害賠償を求めたが、Aは個人としての責任を否定して争った。
あてはめ
本件において、上告人Aは上告会社の代表取締役であり、その職務を行うにつき不法行為を行った。会社がその行為について賠償責任を負う事態であっても、不法行為を行った本人である代表取締役の責任が当然に否定される理由はない。したがって、確定された事実関係に基づけば、Aは被上告人が被った損害を個人として賠償する義務があるといえる。
結論
代表取締役は、職務執行上の不法行為について、会社と共に個人としても損害賠償責任を負う。
実務上の射程
会社法上の役員等の第三者に対する責任(現429条1項)との関係が問題となるが、本判決は一般不法行為責任の成立を認めたものである。実務上、代表者の加害行為が認められる場合には、民法709条に基づく個人責任を追及する際の不可欠な根拠となる。ただし、職務執行性の判断や、会社責任(旧商法78条、現会社法350条)との連帯債務関係の構成に留意が必要である。
事件番号: 平成18(受)265 / 裁判年月日: 平成20年6月10日 / 結論: その他
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