判旨
自作農創設特別措置法15条2項1号にいう「主たる所得が農業以外の職業から得られている場合」とは、特定の年においてたまたま他所得が多いことを指すのではなく、継続的にみて常態として他所得が主であると認められる場合を指す。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法15条2項1号(附帯買収の制限事由)にいう「主たる所得が農業以外の職業から得られている場合」の意義、およびその判定基準となる時期と期間が問題となる。
規範
「主たる所得が農業以外の職業から得られている場合」の判断は、特定の年における一時的な所得の多寡によるべきではない。買収計画樹立時当時の状況を基準としつつ、継続的にみて、常態として農業以外の職業から得られる所得が主たるものと認められるか否かによって判定すべきである。
重要事実
買収計画の対象となった宅地の申請人DおよびEについて、原審は昭和23年度の事業税納税証明書(実質的には昭和22年の所得状況を示すもの)に基づき、農業以外の事業所得が主であるとして買収を違法と判断した。しかし、証拠(乙第8、9号証)によれば、昭和23年および24年の所得は両名とも農業所得が事業所得を上回っており、Dは精米業、Eは運送業を営んでいたものの、所得の状況からは農業が主たる職業であると認められる状態であった。
あてはめ
本件買収計画が樹立された昭和24年当時の状況を基準に検討すると、昭和23年および24年の所得状況はいずれも農業所得が主であり、継続的・常態的に農業以外の所得が主であったとは認められない。原審が、特定の1年分(昭和22年分)の所得状況を示す事業税の納税証明書のみに基づき、他所得が主であると認定したことは、継続性・常態性の観点から検討を欠いており、審理不尽・理由不備の違法がある。
結論
附帯買収の制限事由の有無は継続的な所得状況によって判断すべきであり、特定の年の一時的な所得のみをもって「農業以外の所得が主」と断定した原判決は維持できず、破棄・差戻しを免れない。
事件番号: 昭和33(オ)1077 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: その他
宅地の附帯買収申請者の主たる所得が農業以外の職業から得られている場合であるかどうかの判断にあたり、継続的にみて常態として主たる所得が農業から得られていると認めらるべき証拠があるにかかわらず、これをは排斥しうべき特段の事情を説示することなく、買収計画樹立前の或特定年度の所得の状況のみに基づき、主たる所得が農業以外の職業か…
実務上の射程
行政法における「要件充足性の判断基準時」および「事実認定の合理性」に関する一事例として活用できる。特に、法律上の要件が「主たる〜」といった性質的な評価を求める場合、単一の時点の数値だけでなく、継続性や常態性という時間的幅を持った視点が必要であることを示す際のリファレンスとなる。
事件番号: 昭和33(オ)1078 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
宅地買収計画取消請求の訴において、買収対価の不当がその違法事由の一として主張されている場合には、予備的請求としての買収対価増額請求の訴は、出訴期間経過後に提起されたものであつても、出訴期間遵守の点においては欠くるところがないと解すべきである。
事件番号: 昭和26(オ)559 / 裁判年月日: 昭和28年7月7日 / 結論: 破棄差戻
副業として農業を営むにすぎない者の申請に基き、その者が賃借権を有する宅地建物をいわゆる附帯買収する買収計画は、特別の事情のないかぎり違法である。
事件番号: 昭和33(オ)1095 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】買収計画取消訴訟において対価の不当を主張していた場合、後の対価増額請求の予備的追加における出訴期間の遵守は、取消訴訟の提起時を基準に判断されるが、被告を誤った不適法な訴えは却下を免れない。 第1 事案の概要:上告人は、農業委員会を被告として宅地買収計画の取消訴訟(第一次的請求)を提起し、その中で買…
事件番号: 昭和25(オ)335 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
農地の売渡を受けた者が賃借している宅地上に家屋を所有して居住していても、その家屋で飲食業と煙草小売業を営み、しかもその宅地が県道に沿い建物は県道に面して建てられ、その位置、構造、間取り等右営業を営むに適するようにできており、表面は県道に接していてすこしの空地もなく裏側には僅かな庭があるだけで農作物の脱穀、乾燥等をするに…