判旨
自作農創設特別措置法に基づく買収計画において、牧野に該当しないことが明らかな土地を対象とした処分は、重大かつ明白な瑕疵があるものとして当然に無効である。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法上の「牧野」に該当しないことが明らかな土地(鉱業用地)を対象とした買収計画の効力、およびその瑕疵の程度が問題となる。
規範
行政処分が当然に無効とされるためには、当該処分に重大かつ明白な瑕疵があることを要する。法が買収対象から除外していることが客観的に明白な対象に対してなされた処分は、法の根拠を欠く重大な瑕疵があり、原則として無効と解される。
重要事実
被上告人(会社)は、昭和17年頃から本件土地にダム、索道、軌道を設置し、鉱業用地として利用していた沿革があった。その後、本件土地に対し、自作農創設特別措置法に基づく牧野買収計画が立てられたが、当該土地は実態として家畜の放牧や採草以外の目的に主として供される土地であった。
あてはめ
本件土地は、ダムや索道等の施設が設置された経緯があり、同法2条1項が規定する「牧野」から除外されるべき「家畜の放牧及び採草以外の目的に主として供される土地」に該当する。このように法が定める買収対象に該当しないことが「明らか」な土地に対してなされた買収計画は、処分の前提を欠く重大な誤りがあるといえる。
結論
本件買収計画には重大明白な瑕疵があるため、当然に無効である。したがって、本件土地が牧野であることを前提とした上告人の主張は採用できない。
実務上の射程
行政処分の無効事由としての「重大明白説」を前提に、買収対象の属性という客観的事実の誤認が処分の効力に与える影響を示したもの。答案上は、処分の前提となる公法上の資格や対象の性質が法的に峻別されている場面で、その誤認が無効事由に至ることを説明する際の論拠となる。
事件番号: 昭和31(オ)853 / 裁判年月日: 昭和33年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地買収において対象地が牧野に該当するかは、土地の現況が採草等の用に供されているかにより判断され、また、買収範囲の特定は測量図面等の添付により客観的に可能であれば有効である。 第1 事案の概要:本件は、行政庁による土地の買収処分に対し、上告人がその無効を主張して争った事案である。上告人は、(1)対…
事件番号: 昭和33(オ)1084 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法における農地買収令書の交付に代わる公告の適法性は、農地買収の急速遂行の必要性や当時の交通事情等を総合考慮して判断すべきであり、知事が相当な調査を尽くしても所有者の住所が判明しない場合には、公告をもって令書交付に代えることができる。 第1 事案の概要:上告人はブラジルに在住してい…