日本国有鉄道所有農地には自作農創設特別措置法施行令第一二条の適用がなく、その農地を買収するについて、日本国有鉄道総裁の認可は必要でない。
日本国有鉄道所有農地に自作農創設特別措置法施行令第一二条の適用の有無
日本国有鉄道法63条,自作農創設特別措置法施行令12条,自作農創設特別措置法施行令13条
判旨
日本国有鉄道(国鉄)の所有農地について、自作農創設特別措置法施行令12条に基づく農林大臣への管理換や認可の手続は適用されない。国鉄は事業運営上は国とみなされるが、財産権の主体としては独立した法人であり、国有財産を前提とする管理換手続の対象外となるからである。
問題の所在(論点)
日本国有鉄道法63条に基づき、自作農創設特別措置法施行令12条(国有農地の管理換・認可規定)の適用において、国鉄を「国」と、国鉄総裁を「主務大臣」とみなすことができるか。すなわち、独立した法人である国鉄の所有地に対し、国有財産法的な管理権限の移動手続を求めるべきかが問題となる。
規範
日本国有鉄道法63条の趣旨は、国鉄が事業目的で活動する面では国と同一視する一方、独立した財産権の主体としては国と同一視しない点にある。したがって、国有財産法等の「国の会計を規律することを目的とする法令」およびこれに準じる国有財産の管理換に関する規定(自創法施行令12条等)の適用については、国鉄を国と、国鉄総裁を主務大臣とみなすことはできない。
重要事実
日本国有鉄道(被上告人)が所有する本件土地が、自作農創設特別措置法上の小作地たる農地と認められた。原審は、国鉄所有の農地を自作農創設のために供するには、同法施行令12条に基づき、国鉄を国とみなした上で国鉄総裁の認可等を得るべきであり、その手続を欠く買収は違法であると判断した。これに対し、国(上告人)が、国鉄は独立の法人であり同条の適用はないとして上告した。
あてはめ
管理換とは、国有財産について一の行政庁から他の行政庁へ管理権限を移すものであり、所有権の帰属に変動はない。しかし、国鉄は国とは別個独立の法人格を有し、独自の財産権の主体である。したがって、国鉄から農林大臣への「管理換」という概念は成立し得ない。また、自創法施行令12条は国有財産法の特別手続を定めたものであり、国鉄法63条が適用除外とする「国の会計を規律することを目的とする法令」に含まれる。よって、同条を根拠に国鉄総裁の認可を要求することはできない。
結論
自作農創設特別措置法施行令12条の規定は、国鉄の所有農地に適用される余地はない。したがって、同条の認可を経ていないことを理由に買収手続を違法とした原判決には法令解釈の誤りがある。
実務上の射程
特殊法人や独立行政法人のように、事業上は行政の一翼を担うが財産権上は独立した法人格を持つ組織に対し、国有財産法的な規制や手続(管理換等)が及ぶか否かを判断する際の基準となる。答案上は、組織の法的性格(独立法人性)と、当該法条の目的(会計・財産管理か事業活動か)を区別して論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)1055 / 裁判年月日: 昭和35年10月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法に基づく買収計画において、牧野に該当しないことが明らかな土地を対象とした処分は、重大かつ明白な瑕疵があるものとして当然に無効である。 第1 事案の概要:被上告人(会社)は、昭和17年頃から本件土地にダム、索道、軌道を設置し、鉱業用地として利用していた沿革があった。その後、本件土…
事件番号: 昭和31(オ)372 / 裁判年月日: 昭和33年7月8日 / 結論: 棄却
一 日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第六三条により、自作農創設特別措置法第五条第一号の適用につき国とみなされる。 二 日本国有鉄道がその職員の食糧確保のための厚生施設として利用している農地は、日本国有鉄道法第六三条により自作農創設特別措置法第五条第一号の適用につき国とみなされる日本国有鉄道が「公用に供している農地」にあた…