判旨
請求の論理的前提となっている決定の無効を自ら主張することは、主張自体において理由がないものとして認められない。
問題の所在(論点)
自らその内容の履行を求めている決定について、その決定自体が違憲・無効であると主張することは、訴訟上の主張として許容されるか。
規範
訴訟において、自らがその履行を求めている対象(調停に代わる決定等)について、その前提となる決定が違憲・無効であると主張することは、請求の論理的前提を自ら否定するものであり、主張自体が失当である。
重要事実
上告人は被上告人に対し、裁判所が下した「調停に代わる決定」の内容を履行するよう求める訴えを提起した。しかし、上告人は上告審において、自らが履行の根拠としている当該決定自体が違憲であり無効であるとの主張を行った。
あてはめ
上告人は本件訴訟において、被上告人に対し「調停に代わる決定」の内容の履行を求めている。この請求が認められるためには、当該決定が有効であることが論理的な前提となる。それにもかかわらず、上告人が当該決定を違憲・無効であると主張することは、自己の請求の根拠を自ら否定することに等しく、矛盾した主張といえる。したがって、かかる主張はそれ自体において理由がない。
結論
上告人の主張は理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
禁反言の法理や信義則に近い論理構成であるが、本判決は「請求の論理的前提」という観点から主張の矛盾を指摘している。答案上は、自己に有利な法的効果を主張しながら、その前提となる処分の効力を否定するような矛盾した主張を排除する際の法理として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)1026 / 裁判年月日: 昭和35年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審による事実認定や証拠の取捨選択が適法に行われている限り、独自の見解に基づく事実認定の非難は上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)における事実認定に、証拠無視、審理不尽、および経験則・採証法則違反があるとして、理由不備または理由齟齬の違法を主張し上告した。しかし、具体…