判旨
発明が賭博や不正の具に供される可能性があっても、直ちに公序良俗を害するおそれがあるとは認められず、特許法上の不特許事由には該当しない。また、行政上の営業許可と特許権の効力は別個の法的問題である。
問題の所在(論点)
装置が賭博や不正に利用される可能性がある場合、公序良俗を害するおそれがある発明(不特許事由)として特許が無効となるか。また、営業許可の有無が特許権の有効性に影響を与えるか。
規範
発明の装置自体が、その構造や性質に照らして秩序風俗を紊すおそれがあるといえるか否かによって判断すべきであり、単にその装置が賭博に用いられることがあったり、不正手段の具になる可能性があるというだけでは、特許法上の公序良俗違反(現行特許法32条、旧法3条4号)には該当しない。
重要事実
上告人は、本件発明(競技装置)が新規性・工業的利用性を欠くこと、また、賭博や不正に利用されるおそれがあるため公序良俗に反し特許無効であると主張した。さらに、上告人は遊技営業の許可を受けているため、特許を認めれば経済的差別待遇を受け憲法14条に反すると主張した。
あてはめ
本件競技装置が賭博に用いられたり不正手段の具になったりすることがあっても、それは使用態様の問題にすぎず、装置自体が秩序風俗を紊すおそれがあるとは認められない。また、行政による営業許可は営業を行うための公法上の規制に関するものであり、私権である特許権の侵害の有無や特許の有効性とは全く別個の問題である。
結論
本件発明は公序良俗違反には当たらず、特許は有効である。営業許可を受けていても、特許権の効力を否定する根拠にはならない。
実務上の射程
事件番号: 昭和30(オ)740 / 裁判年月日: 昭和32年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許出願前に特定の企業間等で発明の内容がやり取りされたとしても、それが秘密の状態に置かれ、一般第三者に知られ得る状態に至っていないのであれば、当該発明は公知になったとは認められない。 第1 事案の概要:上告人(被告会社)は、本件特許発明(実用新案登録出願に関連するもの)が、その出願前にD木材工業株…
不特許事由としての公序良俗違反の判断基準を「発明自体」の性質に限定した重要な判例。パチンコ台などの遊技機がギャンブル性を有していても、それだけで特許性を否定されない実務の根拠となる。また、公法上の規制(許可)と私法上の権利(特許権)の峻別を明確にしている。
事件番号: 昭和41(行ツ)53 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: 棄却
特許法第一五六条第一項で所定の審理終結の通知が審決書作成の日より遅れて発せられたというだけでは、右審決取消の理由とするに足りない。
事件番号: 昭和43(行ツ)78 / 裁判年月日: 昭和44年2月13日 / 結論: 棄却
弁理士が、特許庁に在職中審判官として取り扱つた審判事件につき、退職後、弁理士法八条二号に違反して、右事件の審決の取消訴訟を提起した場合には、相手方が右違反行為に異議を述べているかぎり、提訴を無効と解すべきである。
事件番号: 昭和45(行ツ)32 / 裁判年月日: 昭和51年5月6日 / 結論: 棄却
一、特許の無効審判の係属中に当該特許の訂正審判の審決により無効審判の対象に変更が生じた場合には、従前行われた当事者の無効原因の存否に関する攻撃防禦について修正、補充を必要としないことが明白な格別の事情があるときを除き、審判官は、変更後の審判の対象について当事者双方に弁論の機会を与えなければならない。 二、審決に審判手続…
事件番号: 昭和28(オ)1311 / 裁判年月日: 昭和30年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許法上の発明(旧特許法1条の工業的発明)とは、自然法則の利用によって一定の文化目的を達成する技術的考案をいう。 第1 事案の概要:上告人らは、自らが行った考案について、特許能力が認められるべきであると主張して上告した。原審は、当該考案が当時の特許法1条にいう「工業的発明」に該当しないとして特許能…