判旨
種類債権または制限種類債権において、契約締結当時に特定の場所等に目的物の在庫が存在しなかったとしても、その後に債務者が目的物を入手することが可能であれば、引渡義務は履行不能とはならない。
問題の所在(論点)
種類債権または制限種類債権において、契約締結時に特定の保管場所に目的物が存在しないことが、直ちに履行不能(民法412条の2第1項参照)を構成するか。
規範
種類債権(または制限種類債権)において、給付の目的物の個性について当事者間に格別の利害関係が存在しない限り、契約締結時に特定の保管場所に在庫がなかったとしても、客観的に調達が可能であれば履行不能にはあたらない。
重要事実
上告人らは、大豆原油の売買契約に基づく引渡債権について、本件売買契約の当時、目的物を保管すべき訴外会社に在庫が存在しなかったことから、履行不能であると主張した。しかし、本件入札日の後間もなく、当該訴外会社において引渡に十分な量の大豆原油を入手したという事実が認められた。
あてはめ
本件売買の目的物は種類債権であり、仮に保管場所が限定された制限種類債権と解したとしても、目的物の個性について当事者間に格別の利害関係は認められない。また、入札後間もなく債務者が引渡に十分な大豆原油を入手している事実がある。そうであれば、契約時に在庫がなかったとしても、債務者は市場等から調達して給付することが可能であったといえるため、履行不能には該当しない。
結論
本件売買契約締結時に在庫がなかったとしても、引渡義務が履行不能であったとはいえない。
実務上の射程
原始的不能または後発的不能の判断において、種類債権である限りは、調達が可能であるなら履行不能とはならないという原則を再確認するもの。特に、特定の場所の在庫を目的とする「制限種類債権」的な性質を有する場合でも、代替性が認められ、調達の蓋然性がある場合には履行不能の主張は極めて困難であることを示している。
事件番号: 昭和28(オ)515 / 裁判年月日: 昭和35年5月24日 / 結論: 棄却
国が当事者となり売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合に、落札者があつたときは、国および落札者は、互に相手方に対し契約を結ぶ義務を負うにいたるが、この段階では予約が成立するにとどまり、本契約は、契約書の作成によりはじめて成立すると解すべきである。
事件番号: 昭和30(オ)883 / 裁判年月日: 昭和32年6月25日 / 結論: 棄却
一 証人尋問の申出をした当事者が費用を予納しなかつた場合に、相手方が予納したときは、裁判所は右証人尋問の手続を採り得る。 二 証人尋問の申出は、その尋問が終了した後は撤回することを得ない。