一 宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が、その取引に係る契約における損害賠償額の予定又は違約金に関する定めに基づき取得した損害賠償債権又は違約債権は、特段の事情がない限り、弁済業務保証金による弁済の対象である宅地建物取引業法六四条の八第一項所定の「その取引により生じた債権」に当たる。 二 宅地建物取引業保証協会が、その内部規約において、弁済業務保証金による弁済の対象となる損害賠償債権又は違約金債権の内容及び範囲に制限を加え、右債権につき宅地建物取引業法六四条の八第二項所定の認証を拒否することは、許されない。
一 宅地建物取引業保証協会の社員との間の宅地建物の取引に係る契約における損害賠償額の予定又は違約金に関する定めに基づく債権と宅地建物取引業法六四条の八第一項所定の「その取引により生じた債権」 二 宅地建物取引業保証協会がその内部規約において弁済業務保証金による弁済の対象となる損害賠償債権又は違約金債権の内容及び範囲に制限を加えて宅地建物取引業法六四条の八第二項所定の認証を拒否することの許否
宅地建物取引業法27条1項,宅地建物取引業法64条の8第1項,宅地建物取引業法64条の8第2項,民法420条
判旨
宅地建物取引業保証協会の社員と取引をした者が、損害賠償額の予定又は違約金の定めに基づき取得した債権は、特段の事情がない限り、宅地建物取引業法64条の8第1項にいう「その取引により生じた債権」に当たり、弁済業務保証金による弁済の対象となる。保証協会が内部規約により実損額を超える部分の認証を拒否することは許されない。
問題の所在(論点)
宅地建物取引業法64条の8第1項に規定される、弁済業務保証金による弁済対象としての「その取引により生じた債権」に、損害賠償額の予定や違約金の定めに基づき発生した債権が含まれるか。また、保証協会が内部規約により当該債権の範囲を実損額に制限することは許されるか。
規範
宅地建物取引業法64条の8第1項の「その取引により生じた債権」とは、宅地建物取引業に関する取引を原因として発生した債権を意味する。弁済業務保証金制度は、営業保証金制度(同法27条1項)の代替的制度であり、取引の相手方を保護する趣旨であることから、両制度における対象債権は同一に解すべきである。また、損害賠償額の予定や違約金の特約は同法37条1項8号等により是認されているため、当該特約に基づき発生した債権も、特段の事情がない限り同項所定の債権に該当する。
重要事実
被上告人は、宅地建物取引業保証協会(上告人)の社員である業者との間で、宅地の売買契約を締結した。同契約には違約金に関する定めがあり、業者の債務不履行に基づき1000万円の違約金債権が発生した。被上告人は法64条の8第2項に基づく認証を求めたが、上告人は内部規約において「実損金額を超える部分は弁済業務の対象から除外する」旨を定めていることを理由に、実損を超える部分の認証を拒んだため、その可否が争われた。
あてはめ
本件違約金債権は、宅地の売買契約という宅地建物取引業に関する取引を原因として、契約上の特約に基づき適法に発生したものである。営業保証金制度と弁済業務保証金制度で対象債権を区別すべき合理的な理由はなく、法もその範囲を制限することを容認していない。したがって、特段の事情がない本件においては、違約金債権の全額が「その取引により生じた債権」に該当すると評価される。ゆえに、上告人が内部規約を根拠に実損を超える部分の認証を拒否することは、法の趣旨に反し許されない。
結論
本件違約金債権は法64条の8第1項の債権に該当し、上告人は債権額1000万円全額について認証を行う義務を負う。
実務上の射程
弁済業務保証金の対象債権が営業保証金と同一であることを明示した点に意義がある。答案上では、条文上の「その取引により生じた債権」の解釈として、損害賠償額の予定(民法420条)等の合意による加算分も、公序良俗違反等の特段の事情がない限り含まれると論じる際に活用できる。
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